今年はどんなデジカメが出てくる? 価格高騰の今だから期待したい“後継機”
画作りにこだわった機能が目立ったよね
デジタル一眼のトレンドとしては、ここんとこAIを駆使した被写体検出AFやリアルタイムトラッキングが中心で、それはもう今年も変わらず。AIが絡んでくるともう毎年進化はし続けるわけで、そこは各社の従来とは異なる技術力や資本力が関係してきそうで大変そうなのだけど、AIと高速センサーを中心に進むのは間違いないだろうなと。 もう一つ、24年に興味深いトレンドが出てきた。 個性的な色や階調といった画作り推しだ。 もともと、どのカメラも「ピクチャーコントロール」や「ピクチャースタイル」「ピクチャーモード」などの名前で撮影時の色や階調やシャープネスの組み合わせを選べるのだけど、どれもメニューの中にあり、マメに変える人ってあまりいなかったと思う。 各社とも違う名前がついてるので、ここでは暫定的に「画作り」とします。それが、24年の新製品で表に出てきたのである。発端は動画クリエイター関連じゃないかと思う。 そして最初に動いたのがパナソニックの「リアルタイムLUT」だ。LUTは「ルックアップテーブル」の略で映像用語なのだけど、それを写真と映像の両方に適用してきた上に、S9に専用のボタンを設けたのだ。 しかも、スマホを通してダウンロードしたLUTをカメラに転送して当てたり、スマホでオリジナルのLUTを作ることもできる。調整できる幅はかなり大きく、画作りを楽しもう、というのが前面に出ているのがすごく伝わってくる。 今の時代にすごく合ってると思う。 S9と同時期に動いてきたのが、以前から「フィルムシミュレーション」を推してきた富士フイルム。 なんと「X-T50」では、左肩というアクセスしやすい場所に「フィルムシミュレーションダイヤル」を積んできたのだ。メニューを介すことなく、ダイヤルだけで画作りを選べるのである。 ・【関連記事】「動画より静止画を撮りたいんだー」という人に富士フイルム「X-T50」は超オススメかも ちなみにX-T50は背面モニターがチルト式に戻ったという点で非常によいカメラである(個人の感想です)。 フィルムシミュレーションダイヤルはX-M5でも採用した。 ニコンもともと持っていた豊富な「ピクチャーコントロール」に加え、「カスタムピクチャーコントロール」や「イメージングレシピ」といった新機能を装備(Z6 IIIやZ50 II)。 イメージングレシピはクラウドとの連携、カスタムピクチャーコントロールはPCで画作りを行う必要があるなど使い勝手はまだこれからという感じなのでまだ進化しそう。 ソニーの「クリエイティブルック」も個性的な画作りをいくつか持っている。 ニコンや富士フイルムは老舗のブランドだけあり、フィルム時代を彷彿とさせる表現が得意だし、ソニーやパナソニックは映像作品のルックからきた新しい表現が得意という印象だ。「画作り」で楽しむ、個性を出すという流れがきたのは面白い。 というわけで、いち早くそれに取り組んだオリンパス(当時)のアートフィルターもイマドキっぽい画作りで仕切り直してPENと一緒に復活したらいいんじゃないかというのはさっきも書いたか。いやマジで今チャンスだと思うのだけどなあ。 総括すると、ハイエンド機は積層型センサーやグローバルシャッター方式のセンサーが出てきたことで「デフォルトが電子シャッターになる」時代がやってきたので、あとはセンサーのコストが下がってミドルクラスにも広がるといいなあと思っている。エントリー機こそシンプルに、歪まない電子シャッターオンリーになるべきだと考えているのだけど難しいか。 ユニークなのは画作りで遊ぶというトレンド。 S9が代表的だけど、四角くて小さくて軽くていろんな画作りを楽しめるスナップ機ってのはまだくると思う。 もしかしたら、コンパクトデジカメという形の復活もあるかもしれない。スマホ用に開発されたソニーの1型クラスのセンサーを搭載したコンパクトデジカメが出たらいいなあと思っているのだけど、難しいか。 そうそう、ミドルクラスのスタンダード機の話がほぼ出なかったけど、ソニーの「α7 IV」の発売が21年12月だったので、製品サイクル的にそろそろだ。α9 IIIやα1 IIの操作系やAF回りがどこまで受け継がれるかに注目だ。被写体検出AFのオートは積んでくると思う。 もう一つ、製品サイクル的に来るかもしれないのがキヤノン「EOS R6 Mark II」(22年12月発売)の後継機。こちらもEOS R5 Mark IIで搭載された技術がどこまで受け継がれるか。 今年の注目はこのあたりか。
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