今年はどんなデジカメが出てくる? 価格高騰の今だから期待したい“後継機”
小型軽量モデルの充実がうれしいここ2年
次は「下」。下というと聞こえが悪いけど、小型軽量で比較的廉価なモデルって意味だ。10年前はそのクラスが市場を引っ張っていたが、スマートフォンの隆盛に伴って「わざわざカメラを買おう」という人たちが減り、その層に向けた製品もぐっと減っていた。 でも、それが徐々に復活しつつある。 23年はキヤノンの「EOS R50」(事実上、Rマウント版のEOS Kissだ)や「EOS R8」が登場。ソニーはα7C IIを投入。 ・【関連記事】“Kiss”の名が付かない「EOS R50」、いい感じにKissだった ・【関連記事】待望の軽量フルサイズ、キヤノン「EOS R8」の良いところ、残念なところ ニコンは? と思った私は1年前のこのコラムで「ニコンはZ 5やZ 50からかなり時間が経っているので、カジュアルモデルをリニューアルするにはいい時期だ」と書いたのだけど、出たのはZ50 IIだけだった。 ・【関連記事】ニコン「Z50II」はなんだか“ちょうどいい”デジ一眼 価格も手頃なスタンダード機の実力は? “Z5 II”は出なかった。今年はフルサイズセンサー機の入門モデルとしてZ5 II登場に期待したい。 「Z6 III」は出たけれども、これは当初よりちょっとハイエンド方面にいっちゃったかなと。性能的には申し分ないのだけど、Z5との性能差、世代差が開いちゃったのだ。 ・【関連記事】ニコン「Z6III」を試す 部分積層型CMOSの実力は? 進化したAFとファインダーにも注目 さて、24年の小型軽量エントリーモデルとして注目したいのがEVFレスのモデル。パナソニックの「S9」や富士フイルムの「X-M5」だ。 ・【関連記事】何かと物議を醸した「LUMIX S9」、触ってみるとイマドキの機能がうれしいフルサイズ機だった ・【関連記事】小さくて廉価で動画もしっかり 富士フイルム「X-M5」は3つの顔を持つカメラだった 「VLOGCAM」と名づけたソニーのZVシリーズもその仲間といっていいかも。24年は「ZV-E10 II」が投入されている。こちらは順番にリニューアルされていく感じだろう。その分、α6xxxシリーズの新作が出てないけど、動画性能(特に動画撮影時のブレ補正や音声の処理など)に差はあるものの、どれも写真も動画も普通に撮れる。 ・【関連記事】動画カメラの“本命”か──ソニー「ZV-E10 II」はスマホ世代に向けた秀逸な入門機 カジュアル系のデジタルカメラ市場が急激にシュリンクして以来、各社とも高性能で高度な撮影が可能な、一眼レフを完全に置き換えるボディと、多少大きくても高性能なレンズに力を入れてきた。 そちらがある程度一段落したタイミングと、スマホから写真や動画撮影に入った人が専用機としてのカメラに興味を持つタイミングが一致したんじゃないかという気がしている。 こういう四角くて小さなカメラってのは必要かと思う。動画と静止画の垣根がぐっと低くなっている昨今、EVFをのぞく習慣がない層が増えているし。カメラのユーザー層を広げるには、オーバースペックになりそうな高性能より、入門機と呼べる「比較的に購入しやすく持ち出しやすく扱いやすい製品が必要なのだ。 このジャンルは今年も伸びると思うし、伸びてほしい。 となると、気になるのが2社。 一つはキヤノン。 EOS Rシリーズはすべてファインダー搭載機で、ファインダーレスの小型機は「EOS M6 Mark II」(19年)を最後に出してないのだ。 ・【関連記事】コンパクトで使いやすい、画質も上がった優等生ミラーレス一眼「EOS M6 Mark II」 今年、上面がフラットな小型軽量モデルを出してきたら面白いと思うのだけど、出さない気もする。キヤノンは23年にエントリー機を24年にミドルクラスからハイエンドをと上から下まで一通り揃ったのでやるとしたら今年だと思うのだけど。 もう一つ、EVFを持たない背面モニターだけのコンパクトでカジュアルなミラーレス機といえば、ミラーレス一眼黎明(れいめい)期をひっぱったオリンパス(当時)のPENである。 オリンパスからカメラ事業が切り離されてOMDSになって以来、21年の「P7」を最後にPENは出てないのだ。 ・【関連記事】原点に立ち返った“オリンパスPEN” 誰もが軽快に写真を楽しめる「E-P7」 このP7も中身はかなり古くなっているし、USB端子もUSB Type-Cじゃないしで、そろそろ被写体検出AFを搭載したレトロなデザインでアートフィルター推しで出すのにいいタイミングじゃないかなという気はしておりますがいかがでしょう?