サッカーW杯アジア最終予選独走の一因となった攻撃的3バック 世界一へ求められる進化
サッカーの2026年ワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会アジア最終予選を巡り、C組首位で2024年を終えた日本代表。今年のトピックの1つになったのは、引いて守られることが多いアジア対策として導入したアタッカーの数を増やす「攻撃的3バック」だ。アジア最終予選で首位を独走する要因になっていても、肝心なのは目標のW杯制覇へつなげられるかどうか。25年は早々にW杯出場権を獲得し、世界一を見据えた進化に挑む。 ■アジア勢の対策を的確に把握 日本は9月開幕のアジア最終予選を念頭に、すでに突破が決まっていた6月の2次予選から3バックを本格的に採用。3バックを基本布陣に戦った2次予選は2戦2勝で計10得点無失点、最終予選は6戦5勝1分けで計22得点2失点で、白星街道を突き進む一因となった。 基本布陣は3-6-1で、攻撃時は3-2-4-1、守備時は5-4-1気味の立ち位置を取った。攻撃時に「4」の両サイド、守備時に「5」の両サイドに入るポジションに攻撃的な選手を配するのが特徴で、左は三笘薫(ブライトン)、右は堂安律(フライブルク)が主力を担った。ダブルボランチの一角も積極的にゴール前へ顔を出す分厚い攻撃は迫力満点だった。 最大の武器は、三笘と堂安のドリブルやクロスだ。両サイドの攻撃力を最大限にいかすため、11月に3バックの右に入った橋岡大樹(ルートン)は「両サイドに高い位置を取らせないと、攻撃的な選手を使っているよさが出ない」とチームの意図を説明する。 故障で11月の活動を辞退するまで3バックの中央に入った谷口彰悟(シントトロイデン)も「両サイドが最終ラインまでひくと、そこからなかなか前へいけない。できるだけ下げないことを意識している」と述べている。 「攻められないのに後ろにたくさん人がいても意味がない」という鎌田大地(クリスタルパレス)の指摘はうなずける。ボールを奪われても、人数をかけた素早い「攻」から「守」への切り替えで、相手ゴール近くでの再奪取を徹底。手薄な自陣を突かれる危険なカウンターをなかなか許さなかった。 アジア勢の日本対策を的確に見定め、W杯出場権をほぼ手中に収めた成果は申し分なかった。