松山英樹の開幕戦優勝で日本はお祭り騒ぎだが… PGAツアー新シーズンの盛り上がりが米国で不安視される理由とは?
伝統の大会で昨今見られるさびしい光景
PGAツアーの2025年シーズンが早くもハワイでキックオフ。開幕戦の「ザ・セントリー」では、日本のエース、松山英樹がPGAツアー記録を更新する通算35アンダーで勝利し、アジア人選手では最多となる通算11勝目を達成した。 【写真】これが松山がバーディーパットを入れまくったセンターシャフトのキャメロンです
ハワイでの開幕2試合「ザ・セントリー」と「ソニーオープン in ハワイ」の双方で勝利を挙げ、“ハワイ・スラム”を達成したのは、松山が史上7人目となり、何から何まで記録づくめの圧勝だった。 72ホール目の2.5メートルのバーディーパットを前にして、松山は「最後のパットが入るか入らないかで、そういう感じ(ツアー記録更新か並ぶか)になると思っていた。記録になってくれて、うれしい」と、硬かった表情をようやく緩めて微笑んだ。 「これを沈めれば」という場面で、ファンの期待に応え、しっかり沈めたあたりは、まさに黄金期の最強のタイガー・ウッズを思わせるプレーぶりで、米メディアも「サンデー・イエローが眩しい」と手放しで絶賛していた。 そんな松山の優勝に沸いた開幕戦が終了し、続く開幕第2戦は舞台をマウイ島からオアフ島へ移し、ホノルルのワイアラエCCでソニーオープンが開催される。 そして「オープニング・ドライブ」と名付けられたハワイ2戦が終わると、PGAツアーは米本土に移り、西海岸シリーズが始まる。 西海岸シリーズは、「ザ・アメリカンエキスプレス」からの5連戦だ。難コースのトーリー・パインズで開催される2戦目の「ファーマーズインシュランスオープン」は、かつてはタイガー・ウッズのシーズン初戦として大きな注目を集め、バッバ・ワトソンやジョン・ラームといったビッグネームも出揃って、近郊のホテルがすべて満室になるほどの賑わいだった。 しかしながら近年は、ウッズの出場がなくなり、スター選手が次々にリブゴルフへ移籍したこともあり、高額賞金が授けられるシグネチャーイベントに指定されていないことも手伝って、出場選手の顔ぶれがさびしくなっている。 タイトルスポンサーのファーマーズインシュランスは2026年大会をもって降板することがすでに発表されており、その後の見通しはいまなお立っていない様子である。 続く「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」は、古くから大物セレブリティーが集結するプロアマ形式の賑やかな大会として親しまれ、昨今はシグネチャーイベントにも指定されている。しかし、昨年大会からはプレー進行を迅速化させるために競技フォーマットをやや変更。セレブの姿は激減し、これまた少々さびしい大会と化してしまっている。 一方、2月の「WMフェニックスオープン」は、今のところは黙っていても大観衆が押し寄せる人気大会であり続けており、次なるジェネシス招待はウッズが大会ホストを務める大会で、シグネチャーイベントでもあるため、試合会場のリビエラには、おそらく今年もたくさんのファンが訪れるだろうと期待されている。 世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーがクリスマスディナーの支度中に右手のひらを負傷し、開幕戦からの数試合を欠場せざるを得ない状況にあることは、きわめて残念。 そして、かつてのウッズほどの高い集客力を誇る選手は現在のPGAツアーには見当たらず、今年の西海岸シリーズは「盛り上がるだろうか?」「大丈夫だろうか?」といった不安の声も聞かれている。