日本経済総予測2025 新NISA 個人の資産運用の姿が一変 アクティブ増加で分散も進行 松本学
◇目的に見合ったリスクを ただし一方で、投資に伴うリスクはリターンの源泉でもある。分散投資と並び非常に重要なのは、投資のゴールに見合ったリスクを取るということだ。新NISAは投資金額の枠が広がり、期間が無期限に、また投資枠の再利用も可能になったことで、結婚資金、子どもの教育費、リタイア後の生活資金といった幅広い目的のために利用できる。だが各目的における支出金額の確実性、支出が発生するまでの時間、達成できない可能性をどの程度許容できるかなどで、必要なリターンを得るために取るべきリスク水準は異なる。 例えば、リタイア後の生活資金のような、長期間にわたるゴールの場合はどうか。若くて時間のある時期には、つみたての利用で株式中心の投資を時間分散しながら行うことが適していよう。一方、リタイア間近になればリスクをより抑え債券メインに株式を加えたような運用が適すると考える。定期的な運用内容の見直しも必要だ。 ファイナンシャル・アドバイザーなどの専門家への相談も検討したい。当社が23の国や地域で行った調査によると、お金に関するアドバイスの入手先として金融機関や専門家を挙げる国が多い一方、日本はSNS(ネット交流サービス)の人気が高い(図)。日本でも官民で設立した金融経済教育推進機構(J-FLEC)が今年8月から、中立的な立場から個人に寄り添ったアドバイスを行う制度を本格稼働させた。 個々人に合わせた専門家からの助言と新NISAの活用で、ゴールに見合った投資の実現に近づけたい。 (松本学〈まつもと・まなぶ〉フィデリティ投信商品開発部長)