J2甲府が活動停止処分を下したMF新井涼平の女性スキャンダルの“罪”の大きさとは?
スキャンダルに話を戻せば、女性が両親に会わせたいと新井に伝えた直後から連絡が途絶え、携帯電話も不通になった。不安になった女性がチームへ連絡を入れ、フロント幹部と話し合いの場を持った末にすべての事実が明らかになったという。 女性が合鍵を手渡されたアパートは独身を装うために、妻子と暮らす自宅とは別に新井が借りたものだった。手口は計画的で、極めて悪質と言わざるをえない。虚偽による貞操権の侵害を理由に、女性が新井への慰謝料請求を検討しているとも報じた「文春オンライン」は、今回の一件に“結婚詐欺”と見出しを打っている。 前チェアマンの村井満氏が「われわれが地域の皆様に迷惑をかけるような存在だとしたら、地域における存在意義を失うことにつながる」と語っていたように、Jリーグはかねてからクラブに関わるすべての人間の立ち居振る舞いの大切さを説いてきた。選手に対しては、子どもたちの憧れの存在になってほしいという思いも込められている。 それだけに、年齢も30代に達し、ピッチの内外で選手たちを束ねるキャプテンという立場にある新井が起こしたクラブへの裏切り行為を甲府も重く受け止めている。前述した公式ホームページ上における声明は、こんな言葉で締めくくられている。 「現在、本人には活動停止等の処分を科しており、引き続き事実確認に努めることとし、その結果に基づき、今後の対応を検討して参ります」(同) 報道がすべて事実ならば、処分は活動停止だけにとどまらないだろう。デビュー以来、新井はJ1リーグ戦で115試合、J2リーグ戦では163試合にわたってピッチに立ってきた。紡がれてきたキャリアが、自らの愚行で汚されようとしている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)