UKの新星、ザ・ラスト・ディナー・パーティーの「Maximalism」――「躊躇なく、やりたいことを全部やる」
話題のバンドが相次いで登場している最近のイギリスのロック・シーン。中でも異彩を放っているのが、2021年に結成されたロンドンの5人組、ザ・ラスト・ディナー・パーティー(The Last Dinner Party。以下TLDP)だ。ヴィクトリア朝時代やルネサンス風の衣装が目を引く、バロック的な感性とモダンなテイストをミックスしたシアトリカルなルック。そして、ニューウエーヴやグラム、ハードロック、オペラなど多彩な要素を取り入れ、ストリングスやホーンが細部まで飾り立てる華やかでハイブリッドなサウンド。そんな彼女たちが重要なテーマとして掲げているのが、「Maximalism(過剰主義、最大主義)」――いわく「やりたいことは、全部やる」という哲学。その言葉どおり、ビジュアル的にも音楽的にも創造性あふれるスタイリッシュな美学に貫かれた彼女たちのクリエーションは今、世界中を熱狂させている。 【画像】UKの新星、ザ・ラスト・ディナー・パーティーの「Maximalism」――「躊躇なく、やりたいことを全部やる」
デビュー前からローリング・ストーンズのツアーでオープニング・アクトを務めるなど大舞台を経験してきたTLDPは、この春に待望のファースト・アルバム「Prelude to Ecstasy」をリリース。多くの賞賛を集める中、イギリス/アイルランドを代表する音楽賞の一つ、マーキュリー・プライズが先ごろ発表した今年度のノミネーションにもチャーリーXCXやニア・アーカイヴスの新作と並んで同作は選ばれるなど、彼女たちを取り巻く勢いは高まりを見せ続けている。そのサウンドとファッションをつなぐ創作のインスピレーション、背景にあるアートやカルチャーの影響について、「フジロック」に出演のため初来日したTLDPのジョージア(ベース)とリジー(ギター)に話を聞いた。
――デビュー・アルバムの「Prelude to Ecstasy」に入っていない曲で、「Godzilla」って仮タイトル?の曲を最近のライブでやってますよね。まさかTLDPから怪獣映画の名前が出てくるなんて、と驚いたんですが。