UKの新星、ザ・ラスト・ディナー・パーティーの「Maximalism」――「躊躇なく、やりたいことを全部やる」
――実際に活動していく中で、当初のマニフェストは変化していった?
ジョージア:そうですね。ただ、最初のアイデアが重要なんです。そこから時間を重ねて、いろんなものに触れる中で、私たちはバンドとして成長してきたと思う。たくさんの音楽やカルチャーにインスピレーションを受けてきたし、身の回りのもの全てが創造性を刺激してくれるアイデアの宝庫なんです。だから私たちは常に変化し続けているし、これからもそうあり続けると思います。
――ちなみに、そのマニフェストには具体的にはどんなワード、サウンドやビジュアルについてのアイデアが書かれていたんですか。
リジー:「Decadence(退廃)」、「Grotesque(異様な)」、「Extravagance(贅沢)」、「Theatrical(演劇的)」とか、そういう言葉がたくさん並んでいたよね。
ジョージア:そう、あとは「Ecstatic(恍惚的)、「Feral(獰猛)」、「Chaotic(混沌)」、「多幸感(Euphoric)に包まれた状態」……とか(笑)。サウンドについては、弦楽器にギター・ソロをつけてドラマチックにしたい、とかね。ビジュアルも音楽も、「Maximalism(過剰主義)」という言葉がぴったりだと思う。それって、“自分の持っているもの全てをさらけ出す”ということだから。ありとあらゆるものを詰め込んで、とにかく派手にしたい。アンチ・ミニマリズムだね(笑)。
――その「Maximalism」というコンセプトについて、もう少しかみ砕いて説明することはできますか。
ジョージア:つまり、“躊躇なく、やりたいことを全部やる”という哲学だと思う。音楽でもファッションでも何でもそうだけど、多くのものはどこか控えめで、クールぶっていて、何も気にしていないように見せかけているものであふれていると思う。でも本当は違うでしょ? 実際には周りの目や評価を意識したり、すごくいろんなことに気を使っている。だから私たちの「Maximalism」は、そんなの全部無視して、自分の感情に正直になるってことだと思う。音楽だって、やりたいことを全部詰め込む。自分を抑制しない。「これってやり過ぎかな?」とか、「ここでトランペットを吹くのはトゥーマッチかな?」とか、「ボールガウンを着て演奏するのってどうなの?」とか、そういう不安や疑念を持たないで、やりたいことは全部やる。だって、私たちは「やり過ぎ」こそが最高だって信じているから。自分の中にあるものを全て表現する――それが「Maximalism」なんです(笑)。