なぜ巨人の菅野智之は今季初勝利を桑田真澄に並ぶ通算21度目の完封で飾ることできたのか?
巨人の菅野智之(31)が16日、横浜スタジアムでの横浜DeNA戦に先発し9回118球を投げ6安打4奪三振1四球の完封で今季初勝利をマークした。これで完封勝利は2015年から7年連続、通算21度目となり日ハムの金子弌大(37)に並び現役最多タイ。巨人では“レジェンド”沢村栄治氏の20度を超え、1軍投手チーフコーチ補佐の桑田真澄の記録に並んだ。19安打7得点の大量援護をバックに一人で投げ抜き、3試合目にして健在ぶりをアピールした菅野の何がどう変わったのか?
前回3球のフォークを20球使ったクレバー投球術
9回に入ってもストレートは152キロを表示していた。 さすがの菅野でも完封を意識したのか。二死から4番の佐野に、この日、初めてとなる四球を与えて要注意のソトを打席に迎えた。だが、インサイドにストレートとほぼ同じスピードのツーシームを沈めてライトへの平凡なフライ。途中出場の立岡のグラブにボールが収まるのを確認した菅野は、ポンポンと二度グラブを叩いて静かに微笑んだ。 「おそらく記憶している限りハマスタで完封するのは初めてなので嬉しいです」 敵地でのヒーローインタビューで、菅野はそう切り出し、通算21度目の完封勝利については、「毎年、多くできればと思っていますが、まずはいいスタートを切れたんじゃないかなと思います」と、今季初勝利をかみしめた。 バッターズスタジアムである横浜スタジアムはピッチャー泣かせである。しかも、ワンサイドゲームになるほど完封は難しくなる。ベンチは、得点圏に走者が進んでも外野や内野に前進守備をさせる1点をやらない守備隊形を取らず、後ろに下げ大量失点を防ぐ守備隊形を選択するためだ。だが、菅野は、7点差がついた8回、9回に1本のヒットも許していない。トータルでイニングをマネジメントする円熟の投球術である。 二度同じ過ちを繰り返さないクレバーさが菅野にはある。 3月26日の開幕戦の横浜DeNA戦では6回、101球を投げ8安打3四球3失点とピリっとせず、チームは亀井の代打サヨナラ本塁打で劇的勝利したが、菅野に勝ちはつかなかった。横浜DeNA打線に粘られ、FA移籍した梶谷の人的補償で横浜DeNAに移った元同僚の田中俊に2打点を許していた。だが、この日は、配球を一変させた。前回の登板では、打順が一回りするまで1球も投げず、結果的に101球中、3球しか使わなかったフォークを多用した。