「友好関係さらに深まる機会に」天皇陛下、ご訪英前の記者会見全文
「先の大戦においては、世界の各国で多くの尊い命が失われたことを大変痛ましく思います。我が国と英国も、不幸にも戦火を交えることになったことは、誠に残念なことでした。私と雅子は、戦後生まれであり、戦争を体験していませんが、亡くなられた方々や苦しく、悲しい思いをされた方々のことを忘れずに、過去の歴史に対する理解を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないかと思います」
「上皇陛下からは、お若い頃にジョージ5世伝を読まれたことやエリザベス女王陛下の戴冠式に出席されたことなど、また、両陛下で英国を訪問されたときのことなど、英国王室との交流について折に触れて伺ってきました。また、両陛下の戦時中の御体験のお話など、平和を大切に思われるお気持ちについて伺う機会が幾度もあり、私もそのようなお気持ちをしっかりと受け継いでまいりたいと思っています」
「戦後、我が国は、英国を含む各国と共に、国際社会の平和と繁栄のために力を尽くしてきました。現在、英国とは、経済、文化、科学技術、教育など、幅広い分野において緊密な協力関係を構築するに至っていますが、その陰には、戦争の傷を癒やすために両国の人々が地道に積み重ねた努力があったことを忘れることはできません。今回の訪問を契機として、日英両国がこれまでに重ねてきた交流の歴史を踏まえながら、友好親善が更に深まることを願っております」
「外国訪問は、国際親善の増進のために皇室が果たすべき役割の中で、大事な柱の一つであると考えています。昭和天皇並びに香淳皇后も、上皇上皇后両陛下も、外国訪問に当たっては、相手国と我が国との歴史を心に留められると同時に、両国間の相互理解と友好親善をどのように更に深めていくのが良いかということを深くお考えになりながら、御訪問先での諸行事に臨まれたと思います。こうしたなさりようとお気持ちを、私たちとしても大切にして国際親善に努めていきたいと考えており、今回、雅子と共に英国を訪問できることをうれしく思っております」