森保Jはアジア杯正念場のイラン戦で攻撃パターン未完成問題を解消できるのか?
したたかと見るか、不甲斐ないと見るか――。意見の分かれるところだろう。アジアカップでベスト4に進出した森保ジャパンのことである。 オマーンとのグループステージ第2戦、サウジアラビアとのラウンド16に続き、ベトナムとの準々決勝も1-0と、最少得点で逃げ切った。 「今までは自分たちのサッカーができなかったり、相手にボールを持たれたりすると、みんながナーバスになってネガティブな状況が生まれたけれど、今はそんな状況でも大丈夫だと。締めるべきところを締めて身体を張れているから問題ないよと。精神的なところで、したたかなチームというか、成熟してきているのを感じます」 長友佑都がそう胸を張ったように、粘り強く、タフな集団になってきたのは間違いない。 だが、原口元気が「もっと良い試合を見せたいんだけど、簡単じゃない」と語ったように、思い描いたようなゲーム運びができていないのも確かだろう。 その要因は、20歳のDF冨安健洋の言葉が、すべてを表しているように思う。 「明確な攻撃のパターン、これというものがまだ出来上がっていないと感じます」 例えば、ディフェンスラインからのビルドアップをとっても、相手が1トップならこう、2トップならこう、プレスを掛けてきたらこう、ボランチへのパスコースを消されたらこう、というオートマチックな約束事が整理されていないように見える。だから、持ち運べるときに持ち運ばなかったり、相手の1トップに対して3人いるのに、中盤のエリアに入れられなかったりすることがある。 森保一監督がサンフレッチェ広島を率いていた時代、ボランチの森崎和幸を最終ラインに落とし、もうひとりのボランチである青山敏弘をフリーにするメカニズムや、青山からの複数の展開パターンが整理されていたから、チームに落とし込めないはずはない。だが、アジアカップでは、それがなかなか見えてこない。 ロシア・ワールドカップの際の西野朗監督のように、あえて選手に任せているのか、トレーニングではやっているがピッチで表現できていないのか、それともトレーニングすらやっていないのか……。