森保Jはアジア杯正念場のイラン戦で攻撃パターン未完成問題を解消できるのか?
武藤が起用される場合は、その推進力を活かしてカウンターを狙いたい。 おそらくイラン戦はサウジアラビア戦と似て専守防衛の展開になるはずだ。セットプレーに加えて、カウンターが最も可能性の高い得点パターンになるだろう。 もっとも、日本はこのコレクティブカウンターが極端に下手だ。 勢いよく飛び出すまではいいけれど、結局スピードダウンして、シュートまでもち込めないシーンを目にする。サウジアラビア戦もそうだった。 崩しのパターン練習はするけれど、カウンターの練習はしないからだろう。だが、全力疾走のなかで正しい判断と正確な技術を必要とするカウンターこそ、型やパターンが必要になる。勢い任せで攻めても手詰まりになるだけなのだ。 ロシア・ワールドカップでベルギーは、大会前からカウンターの最もうまいチームと言われていた。実際、日本戦だけでなく、ブラジル戦、イングランド戦でも寸分の狂いのないカウンターを発動させていた。 ロフトフのアディショナルタイム、持ち運んだケビン・デ・ブライネが外に展開し、クロスに対して中央でロメル・ルカクが潰れ、ファーでナセル・シャドリが決めるあのゴールは、即興ではなく、入念に準備されたパターンなのだ。 ベトナム戦の前日、カウンターについて原口に訊ねると、悩ましげにこう答えた。 「確かに、そういう(カウンターの)練習をしてもいいかなって思った。でも、もちろん時間もないし、体力的にも難しい。アジアカップじゃなくて、その先を見据えたとき、カウンターの精度を上げるのはひとつの課題だと思う」 ベトナム戦からイラン戦まで中3日。その間もカウンターの練習が積めないならば、武藤や同じくスピードが武器で、スーパーサブとしての起用が考えられる伊東純也を交えた前線の数人が話し合い、イメージのすり合わせだけでもしておくべきだろう。 むろん、大迫が起用できるなら、大迫への縦パスが攻撃のスイッチになり、大迫の動きに合わせて2列目が動くことで、自然と連動性が生まれるだろう。 三者三様のFW陣をいかに生かすか。それが、ひいては2列目を活かし、チームの攻撃を活性化させるはずだ。果たしてアジア最強とうたわれるイラン戦で、流動的な攻撃が生まれるのだろうか。 (文責・飯尾篤史/スポーツライター)