森保Jはアジア杯正念場のイラン戦で攻撃パターン未完成問題を解消できるのか?
ベトナム戦の前半にも一見、軽快にパスを繋いでいるようで崩しのイメージを共有し、ゴールから逆算してボールを動かしているようには見えない場面があった。 ゴールからの逆算の欠如――。 日本の攻撃陣がゴールから遠ざかっている要因のひとつが、これだろう。ゴールから逆算していれば、自ずとFWをどう生かすかという発想にもなるが、今は行き当たりばったりの攻撃によるしわ寄せが、FW陣に来ているような気がする。 そもそも、各々のFWの良さを引き出すという意識自体が薄く、武藤嘉紀にも、北川航也にも、大迫勇也と同じような役割を求めてしまっているように見えるのだ。 大迫と、武藤、北川との決定的な違い――。それは、大迫が“周りを生かす”タイプなら、武藤と北川は“周りに生かされる”タイプという点だろう。 懐深いポストワークから、前線で張るイメージの強い大迫だが、実は、中盤に下がってボールを受け、前を向いてパスをさばくプレーもうまい。こうして大迫がDFを引き連れて空いたスペースに南野拓実が飛び込んだり、堂安律や中島翔哉が潜り込んだりするシーンが、10月のウルグアイ戦では何度も見られた。 現在のブレーメンや昨シーズンまでのケルンで、トップ下やサイドでプレーしていたように、大迫は実に器用な選手なのだ。 一方、北川は清水エスパルスでドウグラスとのコンビで覚醒したように、セカンドトップが適性で、日本代表における理想は、大迫とコンビを組むことだろう。南野と組んだときには、どうしても狙うスペースが被ったり、ボールを呼び込むタイミングが被ったりすることがある。 被ったときには、たいがい南野にボールが出る。それは、なぜか。南野はアクションが強いからだ。下がるフリをして、バッとターンして裏を狙ったり、ウェーブの動きでパスを呼び込むときも、ボールホルダーが顔を上げた瞬間に勢い良く走り出す。自身の意図と違う場所にボールが出てくれば、ジェスチャーと強い口調で要求をする。 だが、北川はそうではない。だから、南野の前では北川の動きは霞む。パスが合わなかったとしも、強く要求しないから、チームメイトも北川が結局どこで欲しかったのか分からないのではないか。 もし、イランとの準決勝でも1トップを任されるなら、裏への飛び出しを生かすべく、相手DFラインと駆け引きし、裏を狙い続けるのもひとつの手だろう。北川自身が敬愛する岡崎慎司のように。それなら味方も狙いが分かりやすいし、パスが通らなくても、相手のディフェンスラインを下げることに繋がり、南野のスペースが空くからだ。