“名将”ノムさんがヤクルト監督ならオリックスの16連勝中“5冠エース”山本由伸をどう攻略するか?
すると野村監督は「いいピッチャーは打てないんや。どうせ打てんのやから、それ(後者)でいこう。ハイリスク、ハイリターンでええ」と答えたという。 橋上氏は、打者ごとにイニングやカウントに応じて投げてくる確率の高い球種を絞り「このボールを狙え」と指示を出した。 「確かスライダーかカーブかの2つにひとつだったと思う」 打倒ダルビッシュでチームはまとまり、キャンプでは打撃マシンにダルビッシュの顔写真まで張り付けた。 結果、楽天はダルビッシュの立ち上がりを襲い、先頭のリックが2球目のカーブを叩きレフト前ヒットで出塁すると、小坂誠がバントで送り一死二塁。3番の鉄平はストレート狙いでセンターオーバーのタイムリー三塁打。さらに続く4番のセギノールは変化球を狙いライトスタンドへ2ランを叩き込み、一気に3点を奪って攻略、岩隈久志の好投もあって3-1で逃げ切ったのである。 「山本も持ち球は主にストレート、フォーク、カットの3つ。ヤクルト打線は、早いカウントから、その3つの球種のうちのどれか1つに絞って勝負するしかないのでは」と橋上氏。 ノムラID野球を継承している高津監督だけに、ハイリスクハイリターンの仕掛けを用意しているのかもしれない。 橋上氏のシリーズ予想は4勝2敗でオリックス。 「山本は第1戦、第6戦と投げられるし、13勝4敗の成績を残した2枚看板の左腕、宮城、田嶋、山崎とピッチャーが揃っている。対するヤクルトは、奥川、高橋と来て、もしCSで打球をぶつけた原が間に合わないのなら、小川、高梨、石川しかいない。オリックスに比べると見劣りするし、左腕の高橋も自滅する怖さを抱える。打撃陣は、ヤクルトが上だが、塩見、山田、村上らが、山本に抑えられて、いいスタートを切れなければ、CSの巨人の坂本みたいに逆シリーズ男になってしまう危険がある。そもそもいいピッチャーに、いい打者がやられるのが短期決戦。だが、もし第1戦からポンポンヒットが出れば、一気にヤクルトが乗っていく可能性もある。つまり昨年までの巨人―ソフトバンクほどセパの力の差のないシリーズになると思う」 シリーズのキーマンとしては、オリックスが吉田正尚―杉本裕太郎、ヤクルトが山田哲人―村上宗隆の両チームの3、4番打者を挙げた。 「軸の2人が、それぞれどういう結果を出すか。彼らが打てば、他のメンバーが自信を持つし、逆に沈黙すれば、“うちのクリーンナップでも打てないのか”となる。どちらのチームも若いメンバーが入っているので、なおさら与える影響が大きい」 オリックスが勝てば25年ぶり、ヤクルトが勝てば20年ぶり。注目の日本シリーズは明日20日から大阪で開幕。すべてナイターで、セの本拠地に場所を変える23日からは神宮球場が使えない関係で東京ドームで3試合行われ、7戦までもつれれば、最後の第7戦は28日にほっともっとフィールド神戸が決戦の地となる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)