50歳から気をつけたい「帯状疱疹」ワクチン接種をどう考える?防ぎ方は?
50歳を過ぎたら増加し、80歳までに3人に1人がかかるというのが帯状疱疹。テレビや新聞で目にする「帯状疱疹ワクチン接種」のすすめ。帯状疱疹は私たちにも関係ある?ワクチンを接種したほうがいいの?日本脳神経外科学会専門医の清水俊彦さんに聞いた。
水ぼうそうにかかった人は誰もが発症する可能性が
「新型コロナ流行以降、帯状疱疹(たいじょうほうしん)が増えているという実感があります。私自身、帯状疱疹の患者さんを診る頻度が増えました。他の医療機関からも同様の話を聞いています」と話す清水先生。 帯状疱疹の発症に関する新たな大規模研究が米国で実施され、新型コロナの罹患者は50歳以上での帯状疱疹の発症リスクが高まる可能性があることが報告されている(*1)。 *1 Bhavsar A. et al.: Open Forum Infectious Disease. 9(5), 2022, ofac118 帯状疱疹は、水ぼうそう(水痘)ウイルスによって起こる病気だ。水ぼうそうの多くは、子どもの頃発症し、水ぼうそうそのものは治っても、帯状疱疹ウイルスとして、おもに体内の神経細胞が集合している神経節に残る。 普段は免疫によって抑えられているが、加齢や疲労、病気などで免疫力が低下するとウイルスが暴れ出し、帯状疱疹を発症する。 日本の大人の多くが水ぼうそうに感染しているので、帯状疱疹は誰もが発症する可能性のある病気だ。特に、50歳以降は発症確率が増え、80歳までにおよそ3人に1人が発症するといわれている。特に女性の発症率が高い傾向だ(下コラム1参照)。ゆえに、更年期以降は注意が必要なのだ。 《Column 1》 ●帯状疱疹の男女年代別の発症総数および平均発症率(1997~2019年)
帯状疱疹の性別・年代別の発症数と発症率。50代から増加し、男性より女性に多い傾向だ。(宮崎県調査研究1997~2019年)*2 *2 外山望:MB Derma, 297: 21-29, 2020