ASDとADHDはどう違う? 発達障害は病気ではない? 専門医が親と周囲の大人に伝えたいこと
「障害だから治そう」から、弱みと強みをセットで捉えて「特性を活かそう」という時代に
発達障害(神経発達症)は“治そう“という考え方から、その子の発達特性を理解して「弱み」と「強み」をセットで捉え、“活かそう“という前向きな考え方に変わってきています。 近年、世界のビジネス・教育の分野で注目されている「ニューロダイバーシティ」(脳・神経の多様性)という概念を知っていますか? これは、「脳や神経、それに由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方です。 一般的な発達をする、いわゆる定型発達の人たちは「多数派」、発達特性のある人は「少数派」とされています。 この少数派の中に、AIに負けない革新的で創造的なアイデアを生み出し活躍できるような子が隠れています(発達特性がある=天才ではないですが、何らかの能力を発揮できる可能性が十分あると思っています)。 特性のある子の子育ては手がかかって大変ですが、私たちはキラリと光る感性の芽を出す種を育てているかもしれないのです! なんだかワクワクしてきませんか? また、経済産業省でも企業の成長戦略としてニューロダイバーシティを推進。「未来人材ビジョン」では若い世代に求める能力として、 ・「変化を恐れず、新しい挑戦を続ける力」 ・「創造力と探求する心」 などが挙げられていて、読み・書き・計算など勉強ができればいい…という昭和時代からの"いい子像"から大きく変わってきたことがわかります。 例えば、お絵描きや工作を楽しんでいたら、画材や廃材などを用意して創作しやすい遊びの環境に整えたり、美術館に出かけたり。歌やダンスが好きならミュージカルに行ったり、習い事をはじめてみたり。宇宙に興味をもちはじめたらプラネタリウムに行く、宇宙に関する図鑑や絵本を読み聞かせるなど、子どもの好き・興味を伸ばすために親ができることはどんどんしていきたいですね。
西村佑美 (発達専門小児科医/一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会 代表理事)