ASDとADHDはどう違う? 発達障害は病気ではない? 専門医が親と周囲の大人に伝えたいこと
発達特性のある子をアンテナに例えて理解!
人間の脳は、膨大な数の脳細胞同士が細い電線(神経)でつながって複雑なネットワークをつくり、全身に指示を伝達したり、全身から情報を回収したりします。送受信が可能なアンテナの集合体のようなものです。 ここでいう「アンテナ」本体は、脳細胞の例え。脳内のアンテナの先端から全身のすみずみに存在するセンサーにまでコードが伸びているイメージです。 全身のセンサーからの情報を受信して処理したり、指令を出したりするためには、脳内のたくさんのアンテナ同士をつなぎ、複雑で有用な構造に成長させる必要があります。アンテナ同士の接続部位がシナプス(脳細胞同士の接続部位の名称)。発達特性が関係するもののひとつに、脳の発達過程で起こる「シナプスの刈り込み」が関わっていると考えられています。 ●赤ちゃん 生まれたばかりの赤ちゃんは小さなアンテナだらけで、接続の仕方もシナプスの数もバラバラ! 生き抜くために周りの小さな刺激の全てに敏感! モロー反射、把握反射など無意識に起こる体の反応もあり、いろいろな言語を吸収する能力も。これらは未熟なうちは生存に不可欠ですが、成長とともにジャマで不要になるものも。 ●成長した多数派の子は… 成長とともに生活に必要のないアンテナは小さくなるか接続が消失(シナプスの刈り込み)。必要なアンテナは標準サイズ規格に成長するイメージです。だから、必要以上に情報をキャッチせず、アンテナの切り替えもスムーズ。ただし、バランスがとれているぶん、強みや個性が目立ちにくくなる面も。 ●成長した少数派の子は… 【ASDタイプ(傾向含む)例】 成長とともに生活に不要なアンテナは消えつつも、一部は残るか規格外に成長! 情報のキャッチ力、細かいことに気づく力があり、好きなことはとことん探究する学者さんタイプに。けれど、感覚アンテナが過敏になったり、対人アンテナが小さいままだったりしてコミュニケーションに課題を抱えることも。 【ADHDタイプ(傾向含む)例】 成長とともに消えるはずの好奇心アンテナがたくさん残るのがADHDタイプ。いろいろ気になって思い立ったら即行動する多動力、アンテナ数からくる好奇心や発想力は、これからの時代に不可欠な能力ともいえます。しかし、幼少期はじっとしていられないために怒られることが多くなり反抗的になることも。