社会学者・上野千鶴子:“どうせ変わらない” 世の中を変えていくために
「こんな世の中に誰がした?」
この数十年で格差が広がり、ジェンダーギャップ指数の世界ランキングでは毎回、先進国で最下位の日本。頑張っても報われないなら、あきらめるしかないのだろうか。 「私たちの世代も努力はしたし、闘ってきましたが、社会を大きく変えることはできませんでした。それでも、例えばセクハラやDV(家庭内暴力)の被害者が声を上げやすくなったのは、闘いの成果です。何もしなければ、世の中は良くなりません」 フェミニズムを「再発見」した「自分ファースト」の若い女性たちに、上野さんは希望を託す。#MeTooに影響を受け、インターネットやSNSを駆使し、ネットワークを広げてさまざまな運動を展開している彼女たちを、上野さんは「次世代のフェミニスト」と見る。 上野さんの最新刊『こんな世の中に誰がした?』(光文社)には、若い女性たちに向けた強い思いが込められている。 「選挙権を持つオトナには、政治家の人災を許して今の世の中を作った責任があります。でも、社会は急には変わりません。今の若い人たちも、やがて後から来る世代に『こんな世の中に誰がした?』と責められることになります。だからこそ、今度はあなたたちが闘う番ですよと伝えたい」
【参考サイト】
Women’s Action Network フェミニズムを伝える・学ぶ・伝えるサイト
【Profile】
上野 千鶴子 UENO Chizuko 1948年、富山県生まれ。東京大学名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク(WAN)」理事長。女性学・ジェンダー研究のパイオニアとして教育と研究に従事。高齢者の介護とケアも研究テーマとしている。 板倉 君枝(ニッポンドットコム) ITAKURA Kimie 出版社、新聞社勤務を経て、現在はニッポンドットコム編集部スタッフライター/エディター。