迷惑駐車で邪魔なクルマはどうすべきか…「民事不介入」として動こうとしない警察を動かすためにやるべきこと
これでも解決しない場合は、所有者の特定をして、直接動かすように連絡しましょう。車のナンバーを陸運局に問い合わせて所有者情報を照会することができます。個人でもできますが、慣れていなければ、弁護士に相談するとスムーズに進みます。所有者や使用者に対して、内容証明郵便などで連絡をとります。 それでも解決しないなら、撤去を求めて民事訴訟を起こしましょう。仮に相手が出廷しなくても、裁判を進めることはできます。訴訟や和解で解決したはずなのに撤去されなかった場合は、別途裁判所に強制執行の申し立てをすることで、強制的に撤去が可能です。 ■迷惑駐車のせいで損害を被った場合は 違法駐車のせいで、車や駐車場を使えなかった場合、その損害を賠償請求することは可能です。たとえば代わりに駐車したコインパーキングの料金を請求できるでしょう。 では、自分の駐車スペースの前に無断駐車がされ、車を出庫できなかったために、家族旅行に行けなかった場合や、大事な会議に遅刻してしまった場合はどうでしょうか。たとえば旅行のキャンセル代を損害として請求できるのでしょうか。残念ながら、これはできません。なぜなら、予見可能でないからです。 民法によれば、このような特別損害については予見可能性、つまり危険な事態や被害が発生する可能性があることを事前に認識できなければ、損害と認められません。 仮に契約関係であったなら、取引相手のこともわかるので予見可能なこともあります。しかし、今回のような不法行為だと取引関係ではないので、相手の事情もわからないのです。残念ながら特別損害の請求は基本的には難しいと考えます。 今回のケースで請求できるとしたら、通常発生する損害の部分のみとなるでしょう。別の車を手配したときの代車代金や、電車やバスを使うなどの代替交通機関の費用など。残念ながら、そのくらいしか認められないと思います。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年11月29日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 籔之内 寛(やぶのうち・ひろし) 弁護士 弁護士法人サリュ所属。埼玉県生まれ。中央大学法科大学院卒。これまでの交通事故解決件数は1500件以上のプロフェッショナル(2024年1月時点)。ほか消費者被害や不動産トラブルなど、幅広く相談に乗っている。 ----------
弁護士 籔之内 寛 構成=力武亜矢