4月下旬に事業停止していた医療機器卸のホクシンメディカル(兵庫)が事後処理を弁護士に一任
(株)ホクシンメディカル(資本金9000万円、兵庫県神戸市東灘区向洋町中6-9、代表北村嘉之氏、従業員200名)は、8月9日時点で事後処理を森保彦弁護士(森田・森法律事務所、東京都新宿区四谷2-8コーポ・クローバー駒井504)に一任し、現在、個別債権者からの問い合わせに対応、全体像の把握に努めていることが判明した。 当社は、1986年(昭和61年)9月創業、87年(昭和62年)7月に法人改組された医療機器卸業者。循環器内科向けのカテーテルや心臓ペースメーカーをはじめ、心臓血管外科向けの人工心肺装置や人工心臓弁など医療機器および医療消耗品類を主体に、脳神経外科や整形外科、消化器科、放射線科などで使用される検査・治療機器などの販売を手がけていた。 神戸本社のほか、関西圏を中心に全国17カ所に営業拠点を配置し、同業の全国の中小医療機器商社を主体に、大学病院、公立病院など全国の医療機関にも販路を構築。近年は特に創業代表のトップセールスにより関東方面の営業にも注力することで2022年3月期には年売上高約408億6000万円を計上し、順調な業績で推移していた。 しかし、2023年に入って売り上げは減少傾向に転じ、2023年3月期の年売上高は約351億5300万円にダウン。この間、2022年10月に架空・循環取引により相次いで経営破綻したアイテック(株)(TDB企業コード:982967861、東京都中央区、総合医療コンサルティング)と関連会社のジェミック(株)(TDB企業コード:983036172、東京都中央区、医療機器卸)との過去の取引をめぐって、一部金融機関から疑義を持たれるなど資金調達は徐々に厳しくなっていた。 こうしたなか、将来的なIPOを見据えて外部から役員を含めた人材を積極的に迎え入れるなど、社内の管理体制や組織再編を含めた整備に注力していたが、2024年3月に資金繰りを含めて取りまとめてきた創業代表が死去。その後、親族が一時的に代表に就任したが、多方面に支払い遅延が発生するなど信用不安が表面化した。決済難に陥っていたなか、新たに現代表が就任。 4月下旬に当社のホームページにて「事業停止のお知らせ」が掲載された以降は大半の従業員が退職するなか、代表に就任していた親族の就任登記が5月に抹消。7月中旬にはホームページに「再建に向けてのお知らせ」がアップされるなど動向が注目されていた。 負債は現在調査中だが、2023年3月期末時点で約111億7900万円。 担当弁護士によると、法的手続きなど今後の対応は、債権調査を踏まえて判断するとのこと。