「キングタイガー」ブランドで一世を風靡した老舗スーツメーカー、大賀(大阪)が民事再生
大賀(株)(TDB企業コード:580057104、資本金1億円、大阪府枚方市長尾谷町1-67-1、代表大賀俊介氏、従業員82名)と、宮﨑クロージング(株)(TDB企業コード:880087068、資本金2000万円、宮崎県宮崎市赤江字飛江田793-1、同代表)は、7月26日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日弁済禁止の保全処分を受けた。 申請代理人は山形康郎弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、大阪府大阪市中央区北浜2-5-23小寺プラザ12階、電話06-6231-3210)ほか6名。 大賀(株)は、1919年(大正8年)7月創業、49年(昭和24年)10月に法人改組した業歴105年の紳士服製造・販売業者。かつては、高級スーツとして知られた「キングタイガー」ブランドでスーツやコートなどを取り扱い、京阪神地区をはじめとする全国の百貨店や紳士服専門店に販路を構築。百貨店のプライベートブランド紳士服のOEM製造も手掛けていた。 業容拡大とともに全国主要都市に営業所を開設するほか、大阪府内に加え、北海道、宮崎県、栃木県、宮城県、秋田県に工場を開設(子会社含む)して生産能力を拡充し、92年7月期には年売上高約334億8300万円を計上していた。 しかし、バブル崩壊以後は、景気悪化や安価な海外製品の流入、クールビズやビジネスカジュアルの浸透などの影響により、売り上げは減少傾向で推移。不採算ブランドから撤退するほか、「KATHARINE HAMNETT(キャサリンハムネット)」や「CORNELIANI(コルネリアーニ)」といった欧州有名ブランドの提携製作での売り上げでテコ入れを図ったものの、赤字経営が常態化し、取引金融機関に返済のリスケジュールを要請していた。 2020年以降のコロナ禍では売り上げが急減。政府系金融機関から追加融資を受けながら、製造子会社を吸収合併するなどの合理化を進めていたものの、2023年7月期の年売上高は約27億8100万円に落ち込む中、資材価格の上昇や円安の影響もあって採算改善が進まず、資金繰りが限界に達し、自主再建を断念した。 宮﨑クロージング(株)は、1972年(昭和47年)8月に設立し、大賀(株)向けの紳士服製造を手がけていたが、大賀(株)に連鎖する形となった。 負債は、大賀(株)が約39億2400万円、宮﨑クロージング(株)が約7200万円(いずれも2023年7月期末時点)。2社合計で約39億9600万円。 なお、今後スポンサーを選定して再建を進める予定で、現時点で既に支援の意向を表明している同業者が出てきている。