2025年の原付問題とCNを同時に解決! スズキe-POは「新しい乗り物」だ……〈多事走論〉from Nom
性能の目標は、フル充電状態で航続距離が20㎞。最高速は原付なので30㎞/h。さらなる性能を望むのなら、人間がペダルを漕いで動力をアシストすればいい。これまでの電動アシスト自転車とは真逆の発想と言っていいでしょう。 かつて、最高出力2ps、リヤはリジッドという極限まで装備を簡略化し、ちょっとそこまでというユースに割り切った「Choinori」(チョイノリ)を5万9800円(税抜き)という価格で発売したことがあるスズキならではの発想というか、面目躍如というか……。 では、実際に走らせてみてどうだったか。 詳細は編集部(ヨ)の試乗記を参照していただきたいですが、筆者が乗った感想は従来の原付ほどのパワーや運転感覚はありませんが、確かに電動アシスト自転車以上の動力性能を実現していました(テストコースで記録したフル電動モードでの最高速は39㎞/h)。しかし、ハンドリングや走行安定性はバイクと言うより自転車のもの。したがって、バイク、自転車のどちらカテゴリーにも明確に分類されない「新しい乗り物」という印象を持ちました。 ──つい習性で、フルスロットルで何キロ出るか試してしまったが、e-POにはそんな走り方は似合わなく、もっと気楽にイージーに走らせるのが正解。 バイク、自転車のどちらにも明確にカテゴライズされず、しかし運転するには免許が必要。道交法も厳格に守らないといけない。最高速は、原付の法定速度の30km/hはクリアできるけれど、フロント:18インチ(ベースモデルより太いタイヤに変更されている)、リヤ:20インチの小径タイヤなりの走行性能。こうやって事実を並べると、e-POのメリットはどこにあるんだ? と思う向きもいらっしゃるでしょう。 しかし、スズキはそんなことは十分分かっていて、このモデルを開発したのです。
バイクに乗ったことがない人がターゲット
ターゲットは、原付に乗った経験のない層(特に若年層)、電動アシスト自転車の利用層でもっと楽に乗れたらいいなと思っている層。逆に、バイクの経験がある層は、特段ターゲットにしているわけではないし、バイクに乗っていた人たちを満足させることができるとも思っていないようなのです。 それよりも、電動アシスト自転車のバッテリーとパワーユニットによる軽量さ、小径ホイールによる取り回しのよさとコンパクトさ、さらには折り畳みも可能。 価格も、21~23万円と現在の原付よりもはるかに安い価格で提供されるのではと編集部では予測しています。 そういうメリットというか、e-POならではの特性によって従来の原付には不可能だったことを可能にしています。 たとえば、最近、都会の集合住宅はバイクの駐車スペースがないところも増えています。しかし、そんな住宅にも自転車置き場はたいていありますから、e-POはそんなバイク禁止の集合住宅でも(おそらく、スペース的には)停めることができるでしょう。あるいは、23㎏という重量ですから、自分の部屋の玄関まで運んで保管することもそう難しいことではありません。 さらに、バイク用駐車場が絶対的に不足している都心部でも、このコンパクトさなら駐車スペースを見つけることも可能でしょう。 また、折り畳んでクルマに積載できるという点も、e-POの使い勝手を広げます。 ──ガソリンもオイルも漏れないし、軽自動車の荷室にもスッポリ収まるコンパクトさ。レジャーの道具としても十分使える。