お湯の注ぎ方で、コーヒーの味や香りを自在にコントロールできる。HARIOの「V60 透過ドリッパー」
そしてもうひとつが、自分のお湯の注ぎ方次第で、抽出するコーヒーの濃さを好きなように調整できること。筆者にとってはこの点が「V60ドリッパー」のいちばんの魅力。 円すい型の真ん中に、3つ穴や1つ穴よりずっと大きな穴が空いているので、お湯がドリッパーを通過するスピードは、他のタイプより速い。 だから一度にお湯をたくさん注いでしまうと、あっという間にお湯が通過して、あっさりとした味や香りのコーヒーになる。 でも、注ぐお湯の量を慎重にコントロールすれば、それ相応の味や香りが引き出せる。 このドリッパーは一般的には「抽出速度が速い」と言われている。けれど、それは使い方次第だ。 コーヒー粉をドリッパーにセット。下にお湯が落ちない程度の量をのお湯をコーヒー粉に注いで約20秒間、「蒸らし」の過程が終わったら、渦巻き状のリブのように、少しの量のお湯を何回にも分けて慎重に回しながら注ぐ。こうすれば、コーヒー粉から味や香りがしっかり抽出される。だから濃厚なコーヒーができる。 つまり、お湯の通りがスムースな分、あなたのお湯のコントロールの具合が直接、味や香りに反映されたコーヒーが淹れられる。このドリッパーが「中・上級者向き」といわれているのはそれが理由だろう。 だから、自分でコーヒーの味や香りをいろいろコントロールしてみたい、抽出過程を楽しみたい人には、ぜひこのドリッパーをオススメしたい。 素材も筆者が使っているAS樹脂製の透明なもの、ポリプロピレン製のホワイトとレッドというお安いものから、ガラス製、磁器製、ステンレス製、銅製の高価なものまで揃っているし、シリコンゴム製で折り畳め、キャンプやアウトドアで使うのに最適な「V60 フラットドリッパー 01 Zebrang」という製品もある。 また、サイズも1~2杯用の「01」、1~4杯用の「02」、1~6杯用の「03」まである。この場合の1杯は約120 mlが基準で、1回でこの計算だと2杯分飲む筆者が愛用しているのは、透明なAS樹脂製の「02」だ。 なおこの「V60」ドリッパーシリーズには、「V60 1回抽出ドリッパー MUGEN(むげん)」という製品もある。