企業の役員に「サイコパス」が多いという衝撃事実 役員室に「スーツを着たヘビ」がはびこる理由
横暴に振る舞う上司、不正を繰り返す政治家、市民を抑圧する独裁者。この世界は腐敗した権力者で溢れている。 では、なぜ権力は腐敗するのだろうか。それは、悪人が権力に引き寄せられるからなのか。権力をもつと人は堕落してしまうのだろうか。あるいは、私たちは悪人に権力を与えがちなのだろうか。 今回、進化論や人類学、心理学など、さまざまな角度から権力の本質に迫る『なぜ悪人が上に立つのか:人間社会の不都合な権力構造』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。 【写真でみる】なぜ政治家は堕落し、職場にサイコパスがはびこるのか? 進化論や人類学、心理学によって読み解く1冊
■連続殺人犯は「しくじったサイコパス」 サイコパスのことを考えると、悪名高い人物が頭に浮かぶ。たとえば、テッド・バンディのような連続殺人犯だ。 バンディはサイコパスの典型的な特性である表面的な魅力を利用し、犠牲者たちを誘惑した。 だが、サイコパスを調べている専門家たちに話を聞くと、みな同じことを指摘する。刑務所行きとなったサイコパスはしくじった人々だという。 たとえば自分の精神病質の特性を隠すのがうまくない、憤激を抑えられないサイコパスもいる。
だが、巧みに溶け込むことのできるサイコパスは大勢いる。うまくやってのけたサイコパスは、役員室に収まっている。法案に署名している。ヘッジファンドを管理している。 精神病質の専門家ロバート・ヘアの言葉を借りれば、彼らは「スーツを着たヘビ」だ。 こうしたヘビたちが権力のある地位にスルスルと滑り込もうとするときに、ダークトライアド(マキャヴェリズムとナルシシズムと精神病質[サイコパシー]の組み合わせ)が役に立つ場合がある。
私たちがどのように人を採用したり昇進させたりするか、考えてほしい。その人の成功のカギは、魅力とカリスマと好感度が握っている。 採用面接は演技の場だ。応募者は、履歴書や、それに添えた効果的な自己PRや、有力な推薦状を持って会場に行く。だが、いったん入室したら、そこにいる人々にいかに気に入ってもらえるか――そして、自分がその職にふさわしいという認識を持ってもらえるか――が勝負だ。 心配していたり、自信がなさそうだったり、おどおどしたりしていたら、雇用される可能性が低くなる。だが、自信があって、言動が上品に見え、どんな質問を投げ掛けられても答えられたら、選ばれる可能性が高まる。