これで文系でも天才数学者と同じ景色を見ることができる…現代数学の超難問をできる限りやさしく解説する
■次から次へと点が生まれる ではもう1問。 ---------- 問題2 楕円曲線y²=x³+2上の有理点の個数は? ---------- この楕円曲線も、グラフから(-1,±1)が見つけられます。 この2点を結ぶと……この直線はもう楕円曲線とは交わりません。ですから、他の方法を考えたいところです。 そんなときは、楕円曲線上の(-1,1)での「接線」を引いてみましょう。(-1,1)での接線とこの楕円曲線の交点をちゃんと計算すると有理点になっています。 この新たな有理点が見つかったことで、次から次へと、芋づる式に有理点が見つかっていきます。問題1のように、新たに見つかった有理点と、すでにあった有理点を結ぶ直線と楕円曲線との交点、またその点と既存の点を結んだ直線との交点、と、次々に繰り返します。 このようにして新たな有理点を無数に見つけ出すことができます。つまり、この楕円曲線y²=x³+2上には、無限個の有理点が存在するのです。 ■無限個のグループが2つも… さらにもう1問。 ---------- 問題3 楕円曲線y²=x³+17上の有理点の個数は? ---------- グラフから(-1,±4)が有理点だとわかりますが、これらから始めて、接線と楕円曲線との交点、有理点どうしを結んだ直線と楕円曲線との交点、……と繰り返していくと、さっきと同じようにこの操作は無限に繰り返せて、有理点は無限個存在しています。 ところが、です。この楕円曲線には、このように見つかる有理点のグループとは別に、さらに無限個の有理点のグループがあるのです。先ほどは(-1,4)を出発点にしましたが、別の有理点(4,9)を出発点として同じ手続きを繰り返すことで、(-1,4)からの手続きでは探し出せなかった有理点が、さらに無限個見つかってしまうのです。 言ってみれば、この楕円曲線には無限個の有理点のグループが2セットある、つまり y²=x³+17上の有理点の個数=無限個×2 だと言うのです。 ここまででも楕円曲線上の有理点の個数は曲線によってさまざまで、一言では言い表せないことがわかったと思います。円周上の有理点が「ない、または無限個」とスパッと言い表せたのとは、だいぶ状況が違いますね。 そして実は、無限個の有理点のグループが3セットや、4セットの楕円曲線だって見つかっているんです。