石川県の大地震でシロウトが支援すべきではない理由を、ビジネス視点で説明してみた。(中嶋よしふみ ウェブメディア編集長)
令和6年1月1日、石川県で震度7の大規模な地震が発生した。その後も震度5強の揺れがたびたび発生し、住宅が多数倒壊するなど大きな被害が出ている。電気・ガス・水道・通信と、インフラも一部地域では途絶えた状況が続いている。 早期の支援が求められる一方で間違った支援はむしろ被害を拡大する。災害発生時にはすでにお馴染みとなった、県庁や市役所に支援物資が山積みされ、その一方で避難所では物資が不足するというおかしな状況は、その「間違った支援」が産み出す。 個人個人が無秩序に被災地へ支援物資を送ってはいけない。 これはとっくに常識かと思いきや、石川県は個人からの支援物資の受け付け停止をすでに公表しており、今回の災害でも相変わらず無秩序な支援が行われている。そしてボランティアの受け入れも執筆時点では開始していない。支援物資同様、無秩序なボランティアも迷惑をかけるだけの間違った支援だ。
それにも関わらず、石川県への道路は一般の車両で大混雑して深刻な渋滞が発生している。すでに複数のメディアで報じられている他、わざわざ岸田総理のXアカウントで支援の邪魔をしないように警告まで出ている有り様だ。 『現在、限られた輸送ルートに一般の車両が殺到し深刻な渋滞が発生しています。 被災地へ速やかに必要な物資が届けられるよう、できる限り利用を抑制していただくことについて、国民の皆様のご理解とご協力をお願いします。』 岸田総理のX公式アカウントより 2024/1/4/12:47 馳浩石川県知事に至っては三連休に石川県に来ないようにとアナウンスする始末だ。被災地は旅行気分で行くような状況ではない。 非常時なんだからゴチャゴチャ言ってないでとにかく支援物資を送れば良い、さっさとボランティアに行けばいい、というやり方は役に立たないどころかかえってマイナスの効果を産む。さすがに千羽鶴や寄せ書きは邪魔であると理解されていると思いたいが支援物資とボランティアはそうではない。 これを理解して貰える形で説明するにはどうしたらいいか? そう考えて2017年に書いたものが「九州で発生した大雨の災害で、シロウトが被災者支援をすべきではない理由」という記事だ。 この記事には防災を専門とする常葉大学の小村隆史教授より「極めてまともな指摘」「この種の問題提起を(自分も含め)防災研究者が、メディアの目に留まる形で出来ていないことへの自戒を込めつつ、シェアさせてもらいます」というコメントを頂いた。 今回はその記事を大幅に再構成して、なぜ無秩序な支援が被害を拡大させるのか、改めてビジネス視点から説明してみたい。