「このままじゃ…苦しむ」古賀紗理那が語る“女子バレーの課題”「考えて動ける選手が圧倒的に少ない」とは?「本気で日本代表を目指す子のために」
「最後はエース…とらわれる必要はない」
男子は日本代表に外国籍監督が就任し、“世界のスタンダード”を落とし込んだ。体格や身体能力で劣る日本人選手でも、戦い方次第で世界と十分渡り合えることを証明し、今や中学生や高校生がそのバレーボールを手本とし、どんどん進化を遂げている。古賀が求める「考えて動く」選手も格段に増えた。 では、女子バレーはどうか。 「私もそうでしたけど、女子バレーは常に個と個の勝負で『最後はエースが決めろ』と言われる。でも、その決め方は教えてくれない。決まらないと背負わされるし、『自分が決めないと勝てない』と思う。そうじゃないよな、って。私は『最後はエース』という発想にとらわれる必要はまったくないと思っていて、どんな攻撃でもその時ベストだと思える形で、誰かが最後の1点を決めればいい。選手だけじゃなく、指導者も変わらないと、ってすごく思います」 部員全員が同じ髪型で、フォームも同じ。その環境で個性など育まれるはずがない。自然と早口になり、これも、あれもと伝えようとする古賀の言葉に熱が増す。 「頭でっかちなコーチがその子の可能性を潰しちゃダメ。生活面を厳しく指導するよりも、こういう時はこういう見方をしてブロックに跳べばいいとか、なぜこの選手が決まって、こっちの選手は決まらないのか、その『なぜ』に対する解決策をくれる指導者、めちゃくちゃ必要ですよ。だから、私にできること、伝えられることは全部教えてあげたい。本気でうまくなりたい、本気で日本代表に行きたい、世界と戦いたいという子にフォーカスして本気で教えたい。日本代表で世界と戦うのに意識が低いって、嫌じゃないですか。余計なプライドなんていらない。日本代表として、誇りをもって戦える選手を育てたいです」
ラストメッセージをどう受け止めるか
インタビューを終えると、すっかり日が暮れていた。古賀の声を収録したICレコーダーには3時間17分と表示されている。 「え、そんなに? 一瞬でしたね。まだまだしゃべり足りないです(笑)」 古賀紗理那のいないSV.LEAGUEが始まった。 男子に比べて観客動員数やメディアでの扱いも少ない。その現状をただ「人気選手がいないから」と安易に捉えるのではなく、なぜそうなったのか。 変えるべきものは恐れず変えることも必要だ。 選手や指導者はもっと積極的に情報を求め、メディアはその取り組みを正しく伝える。 「考える選手が出てきた」と驚くのではなく、考えるのは「当たり前」だと基準を引き上げるように。 それこそが、すべてやり尽くした、選手・古賀紗理那のラストメッセージであるはずだ。 (前編からつづく)
(「バレーボールPRESS」田中夕子 = 文)
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