【世界中から注目される鎌倉市】松尾崇 鎌倉市長に直撃!観光客が殺到する江ノ電への施策は?環境を守る取り組みとは
観光客の傾向は、近年はSNSの影響で若者と外国人が話題の場所に集中して来訪
東京都心から1時間ほどで行ける鎌倉は、古くから多くの人が訪れる観光地。温暖な気候と風光明媚な点から明治から大正にかけては文化人たちの保養地としても知られています。近年は、SNSなどの影響もあって、外国人からも人気の観光スポットとなっています。 今回は、そんな同市が環境を守るため、どんな取り組みをしているのか、松尾崇市長にお話を伺いました。 【画像4枚】「鎌倉市 マナー啓蒙のピクトグラム」など ――新聞やテレビなどの報道では、多くの観光客がいま鎌倉に訪れているようですが、いったいどのくらいの人数にのぼるのでしょうか? 松尾崇市長(以降松尾):鎌倉市は昔から多くの観光客の方たちに訪れていただいていますが、直近20年で見ると、最高では一年間で延べ2000万人を超えることもありました。コロナ禍でいったん少なくなりまして、コロナ後の現在は、延べ1200万人となっています。 また、コロナ禍前とその後で、鎌倉市を訪れる観光客の方たちの特徴には変化がある気がします。コロナ前はどちらかというと高齢者の方が市内のハイキングコースを歩くパターンが多かったのですが、コロナ後は若い年齢層と外国人の方たちが市内の観光スポットを局地的に訪れるパターンが増えた気がします。人気があるのは、鎌倉高校前からの海岸線沿いや、市街の鶴岡八幡宮、小町通りなどです。おそらくアニメ作品やSNSの影響が大きいのではないかと思います。
特典付きの「パーク&ライド」と「鎌倉フリー環境手形」を展開中
――そんな状況の中で、「オーバーツーリズム」に関しては、どのような取り組みをなさっているのでしょうか? 松尾:神奈川県の南東部に位置する鎌倉市は、東西8.75㎞、南北5.20㎞。約40k㎡の比較的小さな街ですが、鎌倉駅周辺をはじめとする特定の場所に観光客が集中するため、交通安全の確保をすることが重要な課題でした。そこで、観光客が集中する鎌倉高校前や鎌倉駅東口、八幡宮前の交差点、小町通りに交通誘導員を配置して、交通の安全を図っています。 また、これはかなり以前から行っていることですが、交通渋滞の緩和を目的として自家用車で鎌倉へ訪れる方たちに向けて「パーク&ライド」を推進しています。具体的には、鎌倉地域の周辺にある4カ所の駐車場に車を駐車してもらい、江ノ電などの公共交通機関に乗り換えて目的地に向かってもらうようにして、「歩く観光」と「分散型観光」をお願いしているんです。利用の方には、駐車料金の割引と江ノ電の1日フリー切符などの特典を設けています。 また、それに加えて、「鎌倉フリー環境手形」も販売しています。これは、鎌倉地域内の観光スポットを広くカバーした5つの路線バスと指定区間を運行する江ノ電が1日自由に乗り降りできるフリー切符で、自動車交通量を削減して、交通環境の改善を図る目的で販売しています。 「パーク&ライド」と「鎌倉フリー環境手形」を利用された方は、約70カ所ある協賛店や寺社などで割引や粗品進呈の特典も受けることができる(大船を除く)ようになっているのですが、どちらも交通渋滞の緩和に成果をあげています。 さらなる交通渋滞の緩和を目指して、この10月からは「鎌倉へ公共交通で来てください」と呼びかける広告も展開しています。