トランプ氏復帰、世界中が注視 ウクライナへの軍事支援に変化も 中国「不確実性増す」
米共和党のトランプ前大統領と、民主党のハリス副大統領が対決した5日の米大統領選を世界各国は強い関心を持って注視した。ロシアのウクライナ侵略を巡り、ウクライナへの支援から撤退する可能性のあるトランプ氏が勝利したことを欧州は警戒。ロシアは歓迎しているとみられる。トランプ氏の勝利で中国は「不確実性」が増すと予測。混沌とする中東情勢は同氏の復帰で新たな局面を迎えそうだ。 【グラフィックでみる】次期米大統領が直面する各国・地域との課題 ■欧州、NATO結束で不安 米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利したことで、欧州では米国がウクライナ支援から撤退し、欧州安全保障に危機をもたらすとの警戒感が出ている。フランスのマクロン大統領は6日にX(旧ツイッター)でトランプ氏の勝利を祝福したうえで、「ドイツのショルツ首相とも話し合った。新たな環境のなかで、われわれは欧州をより強く、結束させるために働く」と投稿。独仏で欧州連合(EU)を牽引し、新政権のもとで新たな米欧関係の構築を目指す構えを示した。 トランプ氏はこれまで、欧州加盟国が防衛費の負担を増やさなければ、ロシアが将来、欧州を攻撃しても防衛しないと述べている。北大西洋条約機構(NATO)の結束に不安が広がる中、ルッテNATO事務総長は6日、「強さによる平和を推進するため、再び協力できることを楽しみにしている」とXに投稿した。 先月の欧州世論調査では、ドイツで64%、フランスでは61%が「安全保障のためにはハリス副大統領の勝利が望ましい」と回答していた。 トランプ氏は国内産業保護のため輸入品に高関税をかけると公言しており、米EU間の貿易摩擦は不可避となる見通しが強い。EUの貿易大国ドイツで特に警戒が強まっている。トランプ氏は10月末、EUについて「彼らはわれわれの車や農作物を買わずに、膨大な量の車を売っている。代償を払わせる」と発言した。 ■露、ウクライナ降伏への圧力期待 ウクライナ侵略を巡って同国の「降伏」による早期の戦闘終結を実現させたいロシアは米大統領選で、ウクライナに停戦圧力を加えたり、軍事支援を停止したりする可能性がある米共和党のトランプ前大統領が勝利したことを歓迎しているとみられる。 ペスコフ露大統領報道官は6日、「プーチン大統領は一貫して対話に前向きだ」とトランプ氏との電話会談を排除しなかった。ウクライナでの停戦に向けて米国が動くかどうかをロシアは注視するとも述べた。