トランプ氏復帰、世界中が注視 ウクライナへの軍事支援に変化も 中国「不確実性増す」
プーチン氏は10月下旬、トランプ氏が停戦の実現に尽力する意向を示しているとし、「(停戦に関する)そうした発言は誰からのものであろうと歓迎する」と表明。また、「(戦争の)帰結はロシアに有利なものであるべきだ。(停戦の内容は)戦場の現実に立脚すべきだという点に関してロシアは譲歩しない」と述べた一方、ロシアには「合理的な妥協」を行う用意があるとも主張した。
プーチン氏は従来、停戦に応じる条件として、ウクライナが南部クリミア半島と東・南部4州全域をロシアに割譲することや、NATO加盟を否定することを提示。ただ、露軍も疲弊しており、4州全域を軍事的に掌握するのは困難だとの見方が露国内でも出ている。
トランプ氏が今後、ロシアとウクライナ双方に硬軟織り交ぜて停戦を促した場合、プーチン氏が4州全域の割譲要求を取り下げ、現在の前線を停戦ラインとすることを認めるなど一定の「妥協」に応じる可能性はゼロではない。
■韓国、対北で安保体制の維持強調
北朝鮮がウクライナを侵略するロシアへ派兵するなど、安全保障情勢が厳しさを増す中、韓国では、米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受け、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がバイデン米大統領、岸田文雄前首相と築いた日米韓の対北安保協力体制が揺らぎかねないとの不安感が高まっている。
トランプ氏は在任中、「裕福な国」である韓国が米国の軍事力に「ただ乗りしている」と主張し、在韓米軍の駐留経費を巡り、韓国に大幅な負担増を迫った経緯がある。このため、韓国は10月、トランプ氏の返り咲きに備え、2026年以降の駐留経費負担を決める協定に早々に合意。選挙直前の今月4日、駆け込むように署名を済ませた。
尹氏は6日、Xでトランプ氏への祝意を示した上で、トランプ氏が「これまで見せてきた強いリーダーシップ」を評価。米韓が今後、緊密に協力していくことに期待を表明した。
韓国大統領府高官は同日、ロシア派兵で北朝鮮の脅威が増している点を指摘。「韓国政府は安保が一寸も揺るがないよう米国の新政権と完璧な安保体制を築き上げていく」と述べ、米新政権下でも安保協力を維持していく方針を強調した。