難病は“時間”を稼ぐことが大事。臍帯血移植を受ける白血病患者の決意
40歳で最初のがんになり、53歳の現在までに脳腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、大腸がん、肺がんを乗り越えた高山知朗さん。30歳で起業し「会社=自分」だったIT社長が、闘病を経て、会社売却を決断するに至るまでに、どう“人生の方向転換”を果たしたのかを語る。『5度のがんを生き延びる技術 がん闘病はメンタルが9割』より一部を抜粋して掲載します。
白血病と造血幹細胞移植
造血幹細胞移植にもいくつか種類があります。私の治療においては骨髄移植あるいは臍帯血(さいたいけつ)移植の2つの可能性がありました。 そもそも白血病とはどういう病気か、その治療法としての造血幹細胞移植とはどんな治療なのかを簡単に説明してみます。 さらに、骨髄移植と臍帯血移植についても、先生の説明を参考にして自分なりにまとめてみました。 ー 白血病とは 白血病は白血球ががん化して白血病細胞となり、それが血液中で異常に増え、正常な白血球、赤血球、血小板が減少する病気です。 ー 造血幹細胞移植とは 健康な人(ドナー)から採取した造血幹細胞を患者に移植することで、正常な血液細胞が作られるようにする治療です。 たとえ話で説明すると、白血病患者の体の中で、正常な血球を押しのけて大量増殖している異常細胞(白血病細胞)と、その異常細胞を大量生産している故障した工場(骨髄)を、正常な血球も含めて丸ごと全て破壊して(前処置)、そこに新たな工場(ドナーの造血幹細胞)を移設してきて(移植)、正常な血球が製造できるようにする(生着)、というのが造血幹細胞移植治療です。 ー 骨髄移植とは 骨髄バンクに登録されたドナー、あるいは血縁ドナーから骨髄を採取し、患者の静脈に注入します。骨髄内に含まれる造血幹細胞が患者の骨髄に移動し、新しい血液細胞の生成を始めます。 患者と血液のHLA型がマッチするドナーを骨髄バンクあるいは血縁者から見つけた上で、移植時にそのドナーに入院していただいて、手術室で全身麻酔下にて骨髄を採取し、患者に移植します。 そのためドナーが仕事等の都合があって入院できない場合は、HLA型がマッチしたとしても移植に至らないケースがあります。そうした調整が必要なため、移植までの準備期間は4~5か月とのことでした。 ー 臍帯血移植とは 赤ちゃんが生まれたときへその緒に残った血液(臍帯血)を採取し、冷凍保存している臍帯血バンクがあります。そこから、患者とHLA型がマッチする臍帯血を取り出して解凍して患者の静脈に注入します。 そうすると臍帯血に含まれる造血幹細胞が患者の骨髄に移動して、血液細胞の生成を始めるのです。 すでに臍帯血バンクに冷凍保管されている臍帯血を移植すればよいので、移植までの準備期間は1か月程度とのことでした。 ただ、骨髄移植と異なり、臍帯血中から採取できる幹細胞数は限りがあるため、体の大きな患者の場合は移植に必要な量の幹細胞を得られない可能性があります。