アギーレJの連覇に必要な条件
アジア杯のグループリーグが終わり、いよいよ明日から決勝トーナメントがスタートする。 日本はD組1位で決勝トーナメントに進出した。グループリーグ3試合の結果は、パレスチナに4-0、イラクに1-0、ヨルダンに2-0。3試合無失点勝利という、文句ない勝ち方だった。 さらに内容ではスコア以上の差を見せつけた。 引いた相手でも難なく攻撃の形を作っていく。チーム全体のリスクマネジメント力が高く、不用意なミスで危険なカウンターを受ける場面がほとんどない。小さなミスはあるが単発。次の瞬間には誰かがカバーに入り、そこでピンチを食い止めている。 引き分けあり、退場者を出しながらの辛勝ありと、内容で大いに苦しんだ前回2011年のザックジャパンの戦いと比べ、すべてが良化しているのは明らかだ。とはいえ、ジャッジも含めて何が起こるか分からないのがアジア杯。日本は、このまま連覇へとたどり着けそうなのか。頂点に立つためには何が必要か。
代表チームが強くなっているという実感を最も強く抱いているのは選手だろう。キャプテンの長谷部誠が、「チームは2011年より成長していると思う。攻撃のバリエーションも多いし、個々も成長している。余裕を持ってゲームができている」ときっぱりと言うのだから間違いない。 ハビエル・アギーレ監督が就任して間もない頃は、新顔のメンバーが多かったこともあり、「4-3-3は難しい」「FWが孤立しがち」という声が一部の選手から聞こえていたが、11月の親善試合2連戦から長谷部や遠藤保仁が戻ってくると、いとも簡単にその悩みは解消された。アジア杯ではチャンスのわりには得点が少ないとも言えるが、そもそも、アギーレ就任後しばらくは、その決定機を作り出すこと自体に窮していたのだから攻撃は確実に進歩している。 快調な理由は何か。経験値の高い選手が多く、なおかつ互いに気心が知れている選手が多いのは大きな要因だが、一つあげておきたいのはチーム全体のコンディションが良いことだ。今野、森繁ら、徐々に負傷者も出て来ているが、中心選手が相次いで負傷離脱している韓国などに比べると、まだ大きな問題は起きていない。 これは、元日開催が恒例となっている天皇杯決勝を2週間前倒しにしたJFA(日本サッカー協会)のアジア杯対策も功を奏していると言える。主力メンバーの大半は現在シーズン中である海外組だが、遠藤、森重真人、武藤嘉紀ら国内組がグループリーグ初戦からある程度動けていたのは、前回大会の反省が生かされたからだろう。 AFCチャレンジカップ優勝でアジア杯出場権を得た初出場のパレスチナを皮切りに、対戦相手が力の差のあるチームばかりだったとはいえ、守備で無失点が続いていることは、チームに余裕がある証拠だ。グループリーグ3試合無失点勝利は日本としてはアジア杯では初めてのこと。選手によるとアギーレ監督が「失点ゼロで行くぞということを口酸っぱく言っている」とのことで、チーム全体で高い守備意識が共有されているうえに、ボールを奪う位置を無理に高く設定することなく、ほどよいバランスが保たれていることがうまくいっている要因だ。