品質アップで世界首位狙う…イチカワ、「シュープレス用ベルト」増産投資
イチカワは抄紙搾水工程で使うシュープレス用ベルトの生産能力を現状比10%増強する。岩間工場(茨城県笠間市)の生産設備に約10億円投資し、2025年度に稼働する予定だ。同社のシュープレス用ベルトは製紙のコスト競争力を強化するため根強い需要がある。同ベルトは世界販売シェアで現状2位だが、30年度には首位を目指し、設備投資で増産対応と品質アップにつなげていく。 岩間工場のベルト製造工程は、基材の製作、樹脂コート、溝切りの三つで構成する。同社は最大約13メートルの広幅製品に樹脂を均一に塗布する技術を持っており、顧客ニーズに合わせ樹脂配合(特許取得)やベルトの硬度、溝形状を選定している。 トランスファー用ベルトを含む同社の抄紙機向けベルト類はここ数年、生産能力を超す受注があり、納期の短縮が課題だった。今回設備を増強することで生産を効率化する。 シュープレス機構はコスト競争力と付加価値の高い紙づくりに適している。フエルトだけを使う従来のロールプレスに比べ搾水性に優れ、プレス面積が広いため省エネルギーにも寄与する。製紙業界では湿紙の水分を搾る工程でシュープレス機構を持つ抄紙機を新設、または同機構を追加改造する動きが進んでいる。 イチカワは1988年、国内で初めてシュープレス用ベルトを開発した。抄紙用フエルトは競合が多いが、ベルト類を含め総合的にプレスパートの抄紙用具を供給できるのは世界でも数社だという。