元テレ東アナウンサーの福田典子の現在。新たな働き方で「自分がわくわくしていられる」
さまぁ~ずの洗礼「福田はまだまだバラエティ分かってないな~(笑)」
──受かった勝因はなんだと思いますか? 福田 採用側がどう思ったかは分かりませんが、面接時、RKBに対してマイナスな気持ちがなかったことが大きかったのではと思います。前向きに、先ほどお伝えしたプロ野球取材の話など「テレビ東京なら、こういう経験が活かせる」という話をメインで伝えました。ほかには、「フルマラソンも走らせてもらい、28キロ地点ではこんな気持ちになる」とか「そのとき食べたミニトマトが美味しすぎて泣いた」とか、「実体験をすることでリポートに生きることがありました。この学びを、ここで活かすことができます」という話をしたんです。働くとき、できるだけ楽しいところを見たいし、そういう気持ちで働いたほうが楽しいですしね。福岡は楽しい仕事ばかりで、それをそのまましゃべったら、その話が面接に向いていたのかな、と思います。 ──そして2016年から2024年までテレビ東京に在籍しますが、福田さんといえば中途入社直後の2016年10月から19年5月までアシスタントを務めた『モヤモヤさまぁ~ず2』です。抜擢されたとき、とても話題になりましたし、ほかのアナウンサーさんたちの視線が気になったのではと思ってしまいました。 福田 初代が大江麻理子さんで、2代目が狩野恵里さんで、3代目が誰になるのかというのは大きなニュースになっていましたよね。狩野さんの番組卒業が告知されたのは私が入社する前でした。私が入社して、内々で就任が決まりましたが厳戒態勢で隠されていて、知っているのは番組のプロデューサーさんとスタッフさん数人、アナウンス部長くらいのごく少数でした。本当に誰にも知らせずに初回ロケに行ったんです。そして就任が明かされると、もしかしたら思うところがある人もいたかもしれませんが、みんな「大役だね!」「頑張ってね!」「前任の2人と福田は違うキャラだから、肩の力を抜いて大丈夫だよ」と、私が仕事に集中できるようにケアしてくれる人がとても多かったですね。 ──さまぁ~ずのお二人との仕事はいかがでしたか? 福田 最初は「テレビの人だ!」と思うような人のなかに私が入っているのが信じられなくて、ふわふわしたまま終わりましたが、初回から「私、バラエティに向いていないかも」と思うシーンが多々ありました。例えば、沖縄で3人でシーサーを作ったんですが、私は見本通りに作っちゃうんですよ、基本通りに忠実に作っちゃう。どうやって自分流にしたらいいのか分からないから。お二人は個性的なシーサーを作っていて「福田はまだまだバラエティを分かっていないな~(笑)」など言われて。これまで、「優等生」と呼ばれたくて生きてきた人生の中で、手本と違うことをやることがすごく苦手なんだと、再認識しましたね。結局、バラエティをちゃんと習得できたかというと、できていない部分が大きいまま卒業したのではないかと思っています。でも、1年くらい経って顔をけがするという出来事があり、そのときに「できる範囲で全力を尽くすことを、求められているんだ」と気づくことができました。 ──二人の番組から学べることは、きっと代えがたいものですよね。 福田 三村(マサカズ)さんと大竹(一樹)さんは、その場で起きることをとても大事にされている芸人さんで、ロケ中に自ら仕掛けていくこともできるけれども、面白いことが起きるのを待つこともできる方なんです。それって、街や人に愛情がないと待てないと思うんですよね。お二人は、本当にその場を楽しまれている。こなさなければならないことよりも、そのときどきの空気感を優先していて、それができるのって、すごいことですよね。それが一番の学びになりました。