元テレ東アナウンサーの福田典子の現在。新たな働き方で「自分がわくわくしていられる」
開幕から優勝の瞬間まで。濃密なプロ野球取材で学んだこと
──特に女性は、出産がキャリアチェンジを考えるきっかけになることが多いかと思いますが、福田さんの場合、「働きにくいから転職した」というネガティブな転職ではないですよね。 福田 そうなんです。テレビ東京は時短勤務も選択できますし、ママさんだからこその仕事の場も多く、私自身も最後の一年間は『よじごじDays』という主婦目線がとても大切な番組のMCを担当していました。だから、出産後もとても働きやすい企業ではあるんですが、そういう目線ではなく「これまでやってきたことを活かして、飛躍したい」という気持ちが強くなったんです。 ──年齢や子どもの有無などのスペックとは無関係に、もっとシンプルな、自分のためのキャリアチェンジ、ですね。 福田 はい。だから「SCOが働きやすい企業だった」というよりは「私がやりたいことが実現できる可能性が、高いかもしれない」というキャリアの選び方でした。 ──福田さんのご経歴を振り返ると、常に前向きに「自分がやりたいこと」を見据えて実現し、とてもかっこいいと思います。スタートは、2013年4月、RKB毎日放送への入社でしたよね。アナウンサーとして3年間在籍しました。そこではどんな学びがありましたか? 福田 よくお話するのは、プロ野球の福岡ソフトバンクホークスの取材です。一年を通して取材して、優勝した瞬間まで取材できる喜びを、スポーツを担当した2年間で2度も享受できたのは貴重な経験でした。日本一になった瞬間だけを伝えることとは違い、一年間、選手やチームの浮き沈みを肌で感じて、そこからの日本一、ですからね。例えば選手から「僕は最後の方は離脱していたから、優勝の戦力にはなっていないんだよ」と言われたとして「いや、あなたの、5月のあの試合でのあの活躍があったからこそ連勝につながり、優勝につながったんですよ!」みたいな話もできるんです。全体の流れがありつつの結末を伝える楽しさ、それを知ることができたのは、福岡での大きな学びでした。 東京でももちろんそういった機会はありましたが、より深く、1つのチーム・1つの事柄に向けて取材をさせてもらえた経験は、とても大きいですね。 ──ローカル局と在京局では、そういった違いがあるんですね。 福田 一方で東京では、初めて取材する人にどうやって入り込んでいくか、ということ学びました。そういうとき、無知であることにためらいを感じますが、アスリートはその道のプロフェッショナルですから「教えてください」というスタンスで取材させていただくこともあるのだ、というか、そう行かざるを得ないときもあるんだ、ということを学びましたね。