元テレ東アナウンサーの福田典子の現在。新たな働き方で「自分がわくわくしていられる」
「テレ東に入社できても仕事がもらえないかも」という負い目で迷いも
──その後、2016年8月にテレビ東京に中途入社します。このとき、テレビ東京のアナウンサー中途採用が異例というということで、とても話題になりましたよね。どういった経緯で中途採用に挑みましたか? 福田 話題でしたよね。私たちローカル局のアナウンサーたちも「こんなこともう一生ないかもしれないから、エントリーシートを出しておこう!」みたいな気持ちでした。新卒以来、久しぶりに就職関連サイトに登録して、転職サイト経由でエントリーシートを出したという話をすると、みんなにびっくりされます。 ──一般的な企業の中途採用と同じ流れなんですね。 福田 そうなんですよ。新卒以来エントリーシートを作って、おそらくカメラテスト代わりに自分が出演してきた映像を送らなくてはいけなくて、それも仕事をしながら大変でしたが自分で作りました。結果、振り返ると、「忙しいから」という理由で諦めなくてよかったな、と思いますね。 ──確かに、ローカル局のアナウンサーはさまざまな業務をこなすイメージがありますね。 福田 そうですね。福岡という土地柄、情報もたくさんありますしスポーツも報道もあり、ドキュメンタリーが強い局でもありました。アナウンサーのカラーを出す方針があり、朗読会もあり、ラジオもあり、1日が出演時間だけで終わることも多く、本当に充実していました。そんなふうにフル回転で経験を積ませてもらえる局は貴重ですよね。そしてそこから、番組のメインを目指すのが王道だと思います。私の場合は、声質的にスポーツに向いていると言っていただき、本来は男性アナウンサーが担当することが多い「駅伝の第二放送車に乗れるように準備しておこうね」と言っていただいたり、とにかくRKBで目指すべきことはたくさんありました。 そんな中での転職活動でしたが、ローカル局のアナウンサーの中には、新卒でキー局に落ちている人も多く、私自身も「テレビ東京に入れても、全く仕事をもらえないかもしれない。求められないかもしれない」という不安もありました。だからこそ、「すぐそこに見えている未来を捨てて、福岡を離れてもいいのか」という迷いはすごくありましたが、新卒のときと同じように「内定してから悩めばいいか! 受ける前に悩んで諦めるのはもったいない」という結論になり、受ける決意を固めました。 ──とても狭き門だったのではないでしょうか。 福田 1500人くらい受け、私ともう1人、元北海道テレビ放送の西野志海さんが受かり、彼女は報道系で採用されてニューヨーク支局までいきました。そのときテレビ東京は、新卒採用を数年間していなかった時期で、人が足りなくなるということで中途採用をしたようで。私は地方局で3年キャリアを積んでいて、そのタイミングで受けることができたのはラッキーだなと思います。