元テレ東アナウンサーの福田典子の現在。新たな働き方で「自分がわくわくしていられる」
「もったいない」の声に「やりたいことに近づけるチャンスを逃すほうがもったいない」
──そんなテレビ東京を退社し、今に至ります。さきほど、テレビ東京の方たちと会ったときに「もったいない、という声はなかった」とうかがいましたが、転職前や直後は、そういう声もあったのではないでしょうか。 福田 そうですね、両親に言われました。「本当にそれでいいの?」と。せっかくテレビ東京に中途で入ることができて、今まで積んだ経験はテレビ東京に入らなければ積めなかったものですし。特に母は心配していました。「子どもが小さいうちに新しい仕事を始めるって、大丈夫なの?」と。外から見たら「もったいない」かもしれないけど、私にとっては、自分がやりたいことに近づけるチャンスを逃すほうが「もったいない」のではないかなと。それに、アナウンサーを辞めるわけではなく、広報も勉強できる、「それってすごいことじゃない?」と話し、最終的には、一言目には「もったいない」と言っていた人たちが、「いい選択かもしれない」と応援してくれるようになったので、「誰にとっての“もったいない”か」ということは、よく考えます。 ──やりたいことをおろそかにしない、後悔のない生き方ですよね。 福田 まあ、「自分のやりたいことを総取り」といいますか、私のわがままな生き方を、周りのみんなが許容してくれるから成り立っているんだと思います。夫にも負担をかけていますしね。いま子どもが2歳で、夫が送り迎えをしてくれたり、「転職して大変だろうから」と、家事も頑張ってくれているんです。すごくファミリーのチームビルディングができていますが、夫が多忙なご家庭だと、私のようなわがままな働き方はできないだろうな、とは思います。 ──キャリアアップしたいけど、育児があるからと諦める方、とてもたくさんいます。 福田 そうですよね。以前、イベントで株式会社ポーラの及川美紀社長の聞き手を務めたことがありますが、そのときに「育児をキャリア分断だと思わないで」と教えていただきました。私自身、その話を聞いたのが出産前で「どう考えても、キャリアの分断になってしまうのでは?」と思っていましたが、振り返ると、育児には仕事に反映できる学びが溢れていたんですよね。 ──ちなみに、いま、「やりたいこと」はどんなことですか? 福田 いまは歯についてです。みんなが健康へ意識を向けるきっかけ作りをしていくことが、私の役割だと思っています。私、人生の最終地点を見極めるのがすごく苦手なんですよ。大きい目標に向けて逆算していくというより、目の前にあることを積み重ねていき、先の目標まで動いていきたいタイプでして。歯についてや健康についてをパーフェクトに伝えられるようになったときに、また次の世界が見えるのかな、と思っています。 ──自分のキャリアを邁進する人に対して、余計なお世話とも思えるような声をかける方もいるかと思いますが、いかがでしょう。 福田 『ABEMA Prime』に出演した際に「趣味:エゴサ」と書かれていました(笑)。そんなつもりはないんですけど、ついつい見ちゃうんですよね。これまで取り上げてくださったインタビュー記事につくコメントを読むと、あまりいい気持ちにはならないコメントもあるんです。でも、そういったコメントの考え方よりも、自分の人生を楽しくする方向に目を向けたほうが絶対に楽しいし、いいチャンスを見つけられるのでは、と思います。私自身、人生楽しく生きています。そう思えるようになったのも、母親になって強くなったこともあるかなと思います。 人生の大半は働いている時間なので、自分にとっていかに楽しくいられるかが大切なのではないでしょうか。どこで働いていたとしても、自分がわくわくしていられるような部分を見つけることが、よりよい働き方なのではないかなと思います。 構成・撮影/丸山剛史 執筆/有山千春
GetNavi web編集部