もはや「同格ですらない」日本とシンガポール、物価高騰に見る「悲しき国力差」とは
ついに160円台を突破した歴史的な円安の影響もあり、物価高騰が深刻化している。日々の暮らしへの負担は重くなる一方だが、日本と同様に物価高騰に直面しているのが、同じアジアのシンガポールだ。同国のインフレ率は日本よりも高く、家賃は米国の約1.6倍、食料価格は日本の約2倍と物価の高騰が目立つ。しかし、同じ物価高騰に直面していても、シンガポールと日本ではある「決定的な違い」が存在している。それは一体何か。同国の経済情勢を日本と比較しつつ解説する。 【詳細な図や写真】シンガポールのインフレ率は高い水準にある(Photo:Timothy Roesdiah / Shutterstock.com)
シンガポールの物価は米国の1.6倍?
今年4月に158円台を付け、34年ぶりの円安水準となった円相場。円安はその後もさらに加速し、2カ月あまり経った同6月27日には、160円台後半に突入。37年半ぶりの円安水準を記録している。 そんなとどまるところを知らない円安の影響も手伝い、日本と海外の物価ギャップが無視できない水準まで来ている。 物価については、ハワイやニューヨークなど米国の主要都市の動向が注目されがちだが、アジア圏でも物価の上昇が止まらない国がある。シンガポールだ。 シンガポールのインフレ率(消費者物価指数=CPI)は2023年に4.8%上昇、2022年の6.1%増から若干物価上昇圧力が和らいだものの、依然として日本や欧米主要国と比べると高い水準にある。 Numbeoの物価データによると、家賃を含まないシンガポールの生活費は、4人家族の場合、5,477シンガポールドル(約66万7,000円)と、物価が高いと言われる米国よりもさらに10.5%高い水準にあるのだ。また、シンガポールは家賃高騰も続いており、家賃水準は米国に比べ63.5%も高いとされる。具体的な数字を出すと、シンガポールの1ベッドルームの家賃は中心部で3,740シンガポールドル(約43万円)となり、日本の8万6,000円を大きく上回る。さらに、3ベッドルームの場合は7,193シンガポールドル(約83万円)にまで家賃が上がる。 この数年、シンガポールでは家賃の高騰が続いており、契約更新時(通常2年)に10~20%家賃が上昇したケースも珍しくない。中には100%近い上昇があったと報告されるなど、特に中心部では家賃上昇が続いている。