「しっかりノートをとり、メモを習慣化」はほぼ無意味…仕事のデキる人がやる「世間の常識」を覆す仕事術
真に効率良く仕事をするには何を意識すればいいか。物流エコノミストの鈴木邦成さんは「滞りをなくせるかどうかは、仕事をスムーズに処理していくうえでの大きな滞りの原因となる『世間の常識』が本当に合理的かどうかを考えてみることだ。たとえば、メモの取り方でいえば、『人の話を聞くときや読書をするときなどに細かくノートをとるのがいい』といった話をよく聞くが、社会人の場合、ノートやメモをとっても見直すことはほとんどない。滞りをなくすという視点からもノートをとる意味はあまりない」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。 ■下剤を飲むような徹夜での作業では滞りは改善されない 滞りを解消するのは便秘の解消と似ています。 「便秘なんて下剤に頼ればすぐ解消できる」という考え方ならば、いつまでたっても便秘体質は解消されないはずです。便秘の解消には抜本的な体質改善が必要になってきますが、それと同じことがいえるのです。 たとえば、予定の進行が滞ることを心配して、まとめて一挙に遅れを取り戻そうとする人がいます。 「時間が足りないならば徹夜で作業をする」といった人です。 確かに徹夜で作業をすれば、予定の遅れを解消することは可能でしょう。しかし、毎日徹夜で作業するわけにはいきません。 徹夜をするというのは特殊な状況です。実際、徹夜で作業をしても能率が上がらなかったり、身につかなかったりすることも多いと思います。
■ムリに効率化する前に、根本的な体質改善が必要 では、仕事が忙しくて「なかなか人に会う余裕がない」という人が「休みの日に集中的に人に会うことにした」という場合はどうでしょう。 仕事で名刺交換だけはしたものの、その後のメールなどの連絡が忙しさにかまけて機を失したときの対応策として、お正月やお盆休みなどに、片っ端から知人・友人に連絡したりします。 けれども、これでは滞りは解消されるどころか、ますます増幅するばかりです。徹夜作業などの負荷の大きな取り組みを定期的に繰り返すことになるからです。便秘を解消するために下剤を常に飲み続けるようなものです。 確かに「便秘で困っている」というときに下剤を飲めば、とりあえずの便秘は解消できるでしょう。しかし、下剤というのはあくまで応急処置です。 便秘だからといって、いつまでも下剤に頼っているわけにはいかないはずです。食生活を改めるなどして、便秘になりにくいように体質改善を行う必要があります。 「便秘だから下剤で解消する」ということを繰り返すわけにはいかないのです。 ちなみに物流の現場の改善なども同じです。ムリに効率化しても、改善の考え方が根づいていないと、再びもとの改善前の状況に戻ってしまうことが圧倒的に多いのです。 ■滞りのない生活は、血流がよい健康体と同じ 時間管理における滞りの解消も同じです。滞りを解消するのには、それなりのコツや考え方があります。「作業が詰まりすぎているから徹夜する」とか「資料づくりを集中的に行いたいから残業時間を増やす」といったことは、抜本的な解決策には至りません。 便秘と血流には医学的に関係があることが知られていますが、比喩(ひゆ)的な意味でも時間管理における便秘体質を解消するには、「血流」をよくすることが効果的といえます。 すなわち仕事量などのムダ、ムラ、ムリをなくし、「必要なときに、必要なことを、必要な量だけ行う」ということを徹底していくのです。 先ほどの例でいえば、徹夜作業にならないように計画を組んでおくのです。 「そんなことは難しい」と思う人もいるかもしれませんが、そのための下準備、ちょっとした工夫をしておけば、そんなに難しいことではないのです。 たとえば、朝活を無定見(むていけん)にだらだらと行うのではなく、「1週間30分ずつ朝活をしておけば、徹夜作業は避けられる」というように逆算しながら時間管理をしていくのです。