法人登記簿の「代表者住所」を“非公開”にする方法【司法書士が解説】
非表示措置のメリット
・安全性の向上 代表取締役の住所が公開されることで、ストーカー被害や詐欺などの犯罪に巻き込まれるリスクが生じます。非表示措置により、これらのリスクを軽減できます。 ・プライバシーの保護 自宅を本店所在地として登記する場合、本店所在地と代表者住所が同じ表記になります。本店所在地=自宅と容易にわかるため、住所公開によるプライバシー侵害が避けられませんでした。この制度により、プライバシーを守りながら会社設立が可能になります。 ・起業家の心理的負担の軽減 特に小規模企業や個人事業主にとって、自宅住所が公開されることで、事業開始に対する不安や負担が大きくなります。この制度を利用することで安心感を得られ、事業運営に集中できます。
手続きの具体的な流れ
(1)必要書類の準備 ・代表取締役住所非表示申出書(法務局指定の書式) ・身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど) ・実質的支配者申告書または申告受理および認証証明書 ・本店の実在性を証明する書類(株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便により送付されたことを証する書面等) (2)法務局への提出 本店所在地を管轄する法務局に、代表取締役の住所が登記されることになる登記申請(会社設立、役員変更、住所変更、管轄外本店移転など)とセットで申出します。申出書には、住所非表示を希望する旨を記載する必要があります(法務省ホームページに記載例あり)。 参考:法務省ホームページ『代表取締役等住所非表示措置について』(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.html) (3)審査と通知 登記申請完了後、問題がなければ住所非表示措置が講じられて非表示になります。処理には通常1週間から10日程度かかります。 (4)手数料と費用 住所非表示の手続き自体は無料ですが、書類準備や専門家への依頼を行う場合、別途費用がかかる場合があります。