スマホ視聴のモヤモヤにNHK会長「ネットで言われているのは誤情報、ボタン押したら契約なんてことはない」
来年10月から、テレビを持たない人でも、スマートフォンなどによりNHKの地上波番組が視聴できるようになるが、その際に必要なのがテレビ同様の受信契約。現行の地上契約と同額の月額1100円とされ、NHKは概要を2024~26年度経営計画の修正案に盛り込み、現在、視聴者から意見を募っている。ところが、契約がどの段階で成立するかなど、スマホユーザーが気になるポイントは、公表資料からは今ひとつ判然としない。新サービスの狙いも含め、改めて取材を進めてみた。(文化部 旗本浩二) 【写真】NHKが映らない「チューナーレステレビあります?」
スマホ持ってるだけでは課金されず
新サービスは、5月に成立した改正放送法に基づくもの。総合テレビとEテレの番組の同時配信、見逃し配信(原則放送から1週間)、さらに「NHKニュースウェブ」などの文字ニュースをはじめとする番組関連情報の配信を、放送と同じ必須業務とし、ネットでも放送と同等の内容を提供することが義務づけられる。
あくまでテレビを持たない人が対象で、既にテレビの受信契約を結んでいれば追加負担は発生しない。また、ネット利用者の中には「スマホを持っているだけで課金されるのか?」と誤解する人も少なくないが、単にスマホやパソコンがあるだけでは契約対象とはならない。
公表資料とは別に記者向けに配布された資料によると、利用希望者がNHKのサイトやアプリを開くと、視聴意思や受信契約が必要になることを確認するメッセージが現れる。それに同意すると、個人情報の登録などが求められる。その後、一定期間登録などを行わないと、再びメッセージが表示されるという。
誤受信防止と言いながら…
この資料の中に気になる注釈がついていた。視聴意思を確認するメッセージが表示された際、それを「確認(押下等)」、つまりタップまたはクリックすると、その時点で「契約締結義務も発生」とされているのだ。
契約締結義務がいつ発生するかについて、NHKはこれまで「スマホの場合はアプリを導入し、IDを取得してご覧になる人は、受信をしたいという意思があると思って契約をしてもらう」(6月の定例記者会見で稲葉延雄会長)、「例えばアプリのダウンロード、あるいはIDの取得などの一定の操作を行って配信を受け始めた方を対象として」(5月の定例記者会見で小池英夫専務理事)と説明してきた。