スマホ視聴のモヤモヤにNHK会長「ネットで言われているのは誤情報、ボタン押したら契約なんてことはない」
とはいえ、大災害や大事故のような緊急時には、ニュースなどの番組の同時配信が契約の有無にかかわらず自由に見られるようになる。その際に確認メッセージが画面上に浮かび上がるようなことがあれば、誤って触れてしまう恐れは否定できない。この点について、担当者は「まだ検討中であって、具体化にあたっては、誤受信防止に対する(視聴者の)意見を踏まえながら、受信料としてふさわしい制度をこれから考えていく。国民の皆様に誤解が生じないようにやっていくことが非常に大事」とした。
実際には、タップやクリックで即契約とはならないとされるが、何より重要なのは確認メッセージの具体的な文言だろう。また、万が一、間違って押した場合の救済ルートも不可欠だ。では、一度契約して利用した後の解約方法はどうなるのだろう。テレビの場合、廃棄したり、故障したりしたことを届け出れば解約できる。スマホでは、例えばアプリをアンインストールすることが考えられるが、それをNHK側に証明するのは面倒だ。例えば「解約ボタン」のようなものを作ってもらうのも一策かもしれないが、いずれにしろ、解約方法も含め、視聴者の十分な理解が得られる手段であることが求められる。その意味では、視聴者から意見を募集するにあたり、現状の考え方を示したのは、受信料を負担する国民に対する説明責任の全うが必須の公共放送として当然の姿勢だ。
利用見込みは1年半で3万6000件
テレビを設置していない人を対象に実施した「NHKのインターネットサービスの利用意向の有無」に関するアンケート調査や、契約者向けの動画配信サービス「NHKプラス」の普及具合を基に、NHKは、新サービスの利用件数は、来年10月にスタート以降、26年度末までに約3万6000件を見込む。新サービスの対象となるテレビのない世帯(故障を含む)が約400万件であることからすると、かなり少ない見積もりだが、想定されているのは、テレビをチューナーレステレビなどに切り替えた際に新サービスに移行し、そのまま契約を続ける人による利用だという。確かにそれだと、劇的に契約件数が増えるとは考えにくいだろう。