スマホ視聴のモヤモヤにNHK会長「ネットで言われているのは誤情報、ボタン押したら契約なんてことはない」
一般のネットショッピングでは、最終的にクレジットカード番号など個人情報を打ち込んだ時点で購入手続きが完了するはずだ。それと比べると、ずいぶん早い段階で契約締結義務が発生するかのようだ。改正放送法は、ネットユーザーが誤って番組等を受信してしまうことを防ぐ措置を求めており、その意味での確認メッセージと位置付けられる。しかし、とりわけスマホの場合、誤ってディスプレーに触れてしまうケースも考えられる。そうなると、いくら誤受信防止措置と主張しても、実際には、契約したくないのに契約してしまうという不本意な結果を招くことにもなりかねない。
確認メッセージ押すとスマホがテレビに“変身”
それなのに確認メッセージのタップやクリック時が、なぜ契約締結義務の発生時期となるのか。これは来年10月から施行される改正放送法64条に由来している。同条には「次の各号のいずれかに該当する者は(中略)協会と受信契約を締結しなければならない」とあり、具体的には「特定受信設備を設置した者」「特定必要的配信の受信を開始した者」が挙げられている。「特定受信設備」とはテレビのことで、ネット視聴に関しては後段が関わってくる。つまり、スマホなどによりNHKの番組等の「受信を開始」した時点で契約義務が生じるという規定だ。
テレビは放送専用の受信機だが、スマホなどはそうでない。電話にも使うし、ネット経由で様々な検索やサイト閲覧、SNSの利用などにも使われ、専らテレビ番組を見るための機械だとは誰も思うまい。それをNHKの受信契約に結びつけるためのひと手間が、確認メッセージへの応諾で、それにより「受信を開始」したとみなされてスマホなどがテレビに“変身”するというわけだ。まだ検討段階ながら、この過程をできるだけ分かりやすく示そうと試みたのが記者向け資料のようだ。
誤ってタップ…否定できず
10月16日の定例記者会見では担当者がこう説明した。「資料にそう書いたのは、その時点で受信機の設置ということがあれば、そこがスタート地点だというルールをお示ししたかった。最終的にはきちんと理解した上で契約していただく」