「どうせ文字だし」…アカデミー賞受賞の売れっ子脚本家・足立紳が「映画の脚本家は低く見られている」と憤る理由
日本アカデミー賞での最優秀脚本賞、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本など、輝かしい功績を積み重ねている脚本家・映画監督の足立紳(52歳)。 【マンガ】子どもの中学受験で「悪意なき毒親」が誕生してしまう「切なすぎる理由」 彼は40歳を過ぎても厳しい下積み生活を送っていたこと、アカデミー賞を受賞してからもアルバイトを続けていたことについて語ってくれた。 前編『「年収2万円」「40歳を過ぎてもアルバイト」…アカデミー賞を受賞した売れっ子脚本家の足立紳が「それでも諦めなかった理由」』より続く。 しかし、賞を取るような人物がアルバイトをしなくてはいけないのは、足立氏自身の問題だけではないだろう。 前編に続き、今回は映画業界の問題点、さらには一般社会からはブラックにも見られるエンタメ業界について足立氏に話を聞いた。
映画の脚本家は低く見られている
――日本最高峰とも言える日本アカデミー賞を獲ったときでも、アルバイト生活だったことを聞いて驚いています。 足立紳(以下、同):2015年に『百円の恋』でアカデミー賞を受賞してから、2年くらいはバイト生活でした。これまでいろいろなバイトや仕事をしてきましたが、最も割りに合わず、尊敬もされず、そして扱いも悪いのが映画の脚本家だと思っています。脚本家はもっと声をあげて、「自分たちはすごいことをやっているんだ」と発信すべきです。 ――映画の脚本家の地位は低いということですか? 僕がこの業界に入った頃は、脚本家も尊敬される立場にいたのですが、それがどんどん低く見られるようになってきたと感じますね。「脚本なんて時間もお金もかけずにパパッと作って、撮影の段階でうまくやればいいでしょ」という考え方が広がって、プロデューサー含め多くのスタッフに脚本をちゃんと読めない人も増えたと僕は思っています。 ――決して簡単な仕事とは思えないので、そのお話は意外です。 脚本って、映像業界の中で唯一、文字を扱う仕事なんです。映像メインの業界なので「どうせ字だし」という感じで低く見られているのではないでしょうか。