昔の面影がなくなった大阪「黒門市場」…インバウンド価格で“儲け主義”に走った先に訪れる未来
種目別で最も消費額が多いのは?
費目別では、①宿泊費(33.0%)、②買物代 (31.1%)、③飲食費(21.8%)の順である。前年同期と比べると買物代が増加している。 訪日外国人(一般客)1人あたり旅行支出は23万9000円と推計される。国籍・地域別にみると、①フランス(41万8000円)、②英国(41万7000円)、③オーストラリア(40万円)の順になっている。費目別(全目的)では、宿泊費は英国、飲食費はイタリア、交通費はスペイン、娯楽などサービス費(体験ツアーなど)はオーストラリア、買物代は中国が最も高いようだ。 中国人の中には朝食なしのビジネス系ホテルに宿泊し、朝食は定食チェーンなどを利用。その浮いた分を買い物に回すなど、旅行予算額を効果的に配分し、消費にメリハリを効かせているようだ。そのため牛丼チェーンやご飯食べ放題の定食チェーンの朝は、アジア系のファミリー客で満席状態。店員さんは大忙しだ。
インバウンド価格で儲け主義に走る店も
訪日外国人観光客が増えている中、インバウンド消費のプレミアム化が止まらず、大トロ、ウニ、ホタテなどの高級食材を盛合わせた「インバウン丼」という新語も生まれている。 外国人観光客が食べる前にスマホで撮影し、SNSに投稿してはしゃいでいる光景をよく見る。デフレに慣れた日本人がとても手を出せない料理を次から次へと注文し、店側を元気にさせており、それを横で見る日本人が羨んでいるのが実情だ。 ある老舗料理店では、従来からあった日本人向けの懐石コース1万円に加え、訪日外国人観光客用に倍のコース2万円を用意したら、注文が殺到し、売上を大きく伸ばしたようだ。訪日外国人観光客が事前に調べてくる有名店においては、通常メニューとは違う特別メニューを用意して対応している店はけっこうある。
処理水排出問題で中国人富裕層の悩みは…
2023年8月の福島原子力発電所の処理水排出問題で、 日本の新鮮な魚介類の中国への輸出が制限されている。日本の魚介類を好んでいた中国の富裕層は、日本に来て食べるしかなくなっている。 処理水排出は、政治的な問題であり、どうしようもできない難題でもある。逆に言えば、そういう問題があるから日本に来てもらっている中国人も多く存在するようだ。 また、中国で高級魚介類の輸入事業をしていた経営者が、輸出禁止の煽りを受けてしまった話も聞く。わざわざ日本に来て法人を設立し、中国に向けて魚介類の輸出事業をしていた中国人経営者は、債務超過に陥り、入国管理局(出入国在留管理庁)から経営管理ビザの更新ができずに、大変な思いをしているそうだ。 中には闇ルートを通じて日本から中国に運んでいる者もいるそうだが、逮捕されたら罰金3000万円と破格だという。そこまでリスクを負いながら密輸する人がいるのは、それだけ日本の新鮮な魚介類に魅力があるからであり、日本への旅行者が増えるのはよく分かる。