3連勝突破の森保監督が4-0圧勝の仏戦でメダル獲得へ向けて打った布石とは?…4強かけて戦う相手はNZ
「ボランチへのこだわりも強く残っているけど、世界的に見てもサイドバックとボランチを両立させてる選手が増えてきている。サッカー界の流行というか、進化に対して挑戦できる部分で、もちろん簡単ではないけれども、楽しさというものを感じている」 代わりに左サイドバックに入ったのが、左サイドハーフで先発していた旗手だった。川崎へはアタッカーとして加入したが、チーム事情で昨シーズンの終盤から左サイドバックでもプレー。東京五輪へ臨むU-24代表へはディフェンダーとして登録された。 「どのポジションであっても、自分がやるべきことは非常にシンプルだと思っている。ゴールを取り、ゴールを守る意識を徹底しながらプレーしていきたい」 代表メンバー選出後に足の付け根付近に肉離れを起こした影響で、2試合連続で途中出場していた上田と、開幕直前に左足首を痛めた冨安も今大会で初先発。ともにフル出場を果たしたなかで、上田は3つのゴールに絡んで復調をアピールした。 冨安はボローニャで右サイドバックとしても高い評価を得ているだけに、ニュージーランド戦では酒井が不在となる右サイドバックへ冨安を配置。センターバックを吉田と板倉のコンビに戻す布陣も可能になる。スペシャリストに加えてユーティリティーぶりをも重視した選考が、一発勝負の決勝トーナメントを前にしてプラスに作用してきた。 「先制点を取らせず、逆に自分たちが先制点を取った展開で相手の戦意を失わせることができた。自分たちの目標はもっと高いところにあるし、個人的には自分の仕事はここからだと思っているので、引き続きチームをいい方向に引っ張っていきたい」 フィールドプレーヤーでただ一人、3試合すべてで先発フル出場しているスペシャリストの代表格・吉田が力を込めた。そして、日本が臨んだ五輪でグループリーグを初めて全勝で突破させた森保監督も、勝って兜の緒を締めよ、とばかりに前を見すえている。 「成果も課題もあった3連勝だったと思う。ただ、この3連勝が次の決勝トーナメントの結果を約束してくれるものではないので、いいところはしっかりと伸ばして、改善しなければいけないところは修正して決勝トーナメントに臨みたい」 途中出場した三好と前田がともにゴールを決め、身体を張った献身的なプレーと豊富な運動量でフル稼働してきたFW林大地(サガン鳥栖)はベンチ外で心身を充電させた。酒井の出場停止も、過密日程下で休養を取ったとポジティブに変換できる。 森保ジャパンはまさに理想的な条件をそろえながら、これまでに日本が獲得した唯一のメダル、1968年メキシコ大会の銅を超えるための戦いをいよいよ加速させていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)