なぜヤクルトは阪神との”天王山初戦”に快勝しVマジック「11」を点灯できたのか…捕手配球と4番リーダーシップの差
ヤクルトが8日、神宮球場で行われた阪神との首位決戦に4-1で快勝して7連勝。優勝マジック「11」を点灯させた。ヤクルトは4番の村上宗隆(21)のタイムリーで先制、2年目の奥川恭伸(20)が7回途中まで1失点の好投を見せ、7回二死満塁のピンチを2番手の田口麗斗(26)が三振で切り抜けた。阪神は中5日で起用した高橋遥人(25)が4失点する誤算。何がヤクルトと阪神の明暗を分けたのか。
奥川が虎打線を4安打1失点に封じこめる
この20歳はただものではない。 勝てばマジック点灯。負ければゲーム差が1になるという天王山の初戦を任され6回3分の2、91球1失点の力投で9勝目を飾った奥川は、晴れのお立ち台で「大事な初戦だったのでもう少し長いイニングを投げたかった」「ピンチを作って投げ切れなかったのが悔しい」と“反省”を口にしたのである。 悔やんだのは3点のリードで迎えた7回。 2本のヒットを許し二死一、三塁から、島田にストレートの四球を与え満塁にした。7試合連続で無四球を続けてきた“精密コントローラー“が制球を乱したのは、初回から150キロを計測するなど、後を考えずに飛ばしてきた”ツケ”と大一番の緊張感だろう。 代打糸井がコールされると高津監督はムードメーカーの左腕の田口にスイッチした。 「ごめんなさい。お願いします」 奥川は、開幕前に巨人からトレードで来た先輩にそう伝えたという。 「恭伸がここまで作り上げたものを壊したくなかった。なんとかアウトを取る」 後輩の意志をついだ田口だが、しびれる場面を「正直ふわふわしていた」と振り返った。 カウント2-2から低めに落とす見送ればボールとなるカットボール。糸井がスイングを中途半端に引っ込めると「回った!」と田口は左手を回すジェスチャー。塁審がスイングを認定して三振を宣告。田口は雄叫びを上げた。 奥川はお立ち台で、おどけて順番待ちしている田口に目線をやり、「申し訳ない気持ちでした。本当にありがとうございます」と、お礼を伝えた。 大舞台にも落ち着き堂々とした投げっぷりで4回二死までノーヒット。大山にボールカウントが3つ先行し、ストライクを取りにいったボールをライトスタンドに運ばれたが、動揺はしなかった。なにしろ阪神打線のカギを握る近本、中野の1、2番コンビを完全に封じ込んだのが大きい。