バラの「シュート」が出ないときはどうすればいいの?
花後に伸びてくる新しい威勢のよい太い枝をバラ栽培では「シュート」と呼びます。来春の開花時の風景を描くためにつるバラでは特に大切なものです。春から栽培を始めたつるバラの若い苗木(新苗)も、株に勢いがあればシュートが上がってきます。 『趣味の園芸』で連載中の「姫野流 つるバラを楽しむ12章」、第4回のテーマは「つるバラの枝を育てる」。成長期によいシュートを得て、保護するコツを覚えましょう。7月号より、一部抜粋してお届けします。
シュートが出ないときは
シュートはつるバラにとって大切な存在ですが扱い方がわからない、待っても出てこないと、悩まれている方もいらっしゃるかと思います。シュートと上手におつき合いすることがつるバラ栽培の上達の秘けつです。 新苗を正しく植えたのにシュートが伸びてこないと心配になると思います。シュートの発生は品種によってかなり差があり、初年は最初の1本がひたすら伸びるだけのこともあります。そのような品種も次の年から茂りがよくなったり、秋からシュートが上がったりすることもあるので焦りは禁物です。 枝先に勢いが感じられれば、おおむね順調に生育しています。品種による差があることも理解しつつ、施しすぎない程度に少しだけ置き肥の回数や量をふやしてみたり、液体肥料を併用したりすると、忘れたころに変化が見られるでしょう。 シュートの発生には水分も大切です。特に軒下は雨がかからない分、肥料も効きにくくなります。「乾いたらよりたっぷり」を心がけていただくとよいと思います。 数年栽培している株で「以前はシュートがよく上がって花もたくさん咲いたのに最近元気がない」という場合は、カミキリムシの幼虫による幹や枝の食害などでなければ、土がやせてきているためと思われます。株のまわりを中耕して牛ふん堆肥や腐葉土などを加え、土に豊かさを取り戻したうえで施肥を行うのが有効です。 つるバラにとってシュートはとても大切ですが、なかなか上がってこなかったり意外に悩ましい存在です。7月号ではシュートと上手につき合うコツをお伝えします。 ●連載「姫野流 つるバラを楽しむ12章」 八ヶ岳でバラ農場を営む姫野由紀さんが、1年間の連載でつるバラの基礎知識、広さや高さに合った品種の選び方、美しく咲かせる栽培のコツ、思いどおりの風景をつくる仕立て方などをお伝えしていきます。 姫野由紀(ひめの・ゆき) バラ栽培家 1972年、兵庫県生まれ。10歳からバラ栽培を始める。一般企業勤務を経て故村田晴夫氏のばら園のスタッフに。2012年より八ヶ岳の農場を引き継ぎ、約1000品種のバラの苗木の生産・販売、品種選びや栽培管理のアドバイスを行う。つるバラやオールドローズをはじめ古花、名花にも造詣が深い。 『趣味の園芸』2024年7月号 姫野流 つるバラを楽しむ12章「第四章 つるバラの枝を育てる」より