更年期症状による離職者は女性46万人、男性11万人にも。「更年期ロス」を防ぐ方法を高尾美穂医師が解説
【0~25点】 これまでの生活を続けていきましょう。 【26~50点】 食事、運動など生活習慣に注意して、無理をせずに過ごしましょう。 【51点以上】 婦人科や更年期外来を受診し、生活指導、カウンセリング、薬物療法などの適切な治療を受けることをお勧めします。 ※医療機関を受診する目安などを評価したもので、スコアの数値自体が更年期障害を示すものではありません。 私たちの親世代が更年期だったころ、世の中で「更年期」が語られることはほぼありませんでした。思うようには変わっていかないと感じるこの日本の社会も、そのころから小さな変化を積み重ね、女性の不調に向き合うことは、社会全体の課題である、という認識に移行しつつあります。 ただ一つ、更年期の不調の診断には、課題があります。「生活に支障が出ている状態」が対策すべき対象である、という点です。つまり、ご本人の主観がとても重要なわけです。 「あまりよくわかっていない」から不安になる、「何をしたら良いのかわからない」から何となく心配、そんなみなさんに、一つだけはっきりお伝えしたいのは、「更年期の不調に対して医学的な対策方法は確立している」ということ。治療を受けることで我慢する必要がなくなることや、更年期以降の健康維持にも役立つことも考えに入れてみてください。
更年期症状はある程度軽くできる
更年期症状全体についていえるのは、生活習慣を整えることによって、ある程度軽くなることを期待できるということです。そして、「〇歳くらいになると体にこんな変化が起こるから、早めに生活習慣を見直しておこう」という、先を予測した“あらかじめのセルフケア”がお勧めです。たとえば、「更年期には疲れやすくなるから、睡眠時間をしっかりとれる生活にしていこう」とか、「閉経後はコレステロール値が心配だから、食事と運動でカバーしよう」といったイメージです。 セルフケアの要となる生活習慣は、自分の意思で変えられることが良い点であり、難しいところでもあるかもしれません。でも、内容はシンプルです。「食事」「運動」「睡眠」について見直して、いまと、これからの自分の健康を守るために必要なことを足したり、引いたりしていきます。 食事と運動のバランスでありがちなのは、20代や30代と比べて運動量が減っているのに、食事のスタイルは変わらず、エネルギー摂取量を上回っているパターンです。 食事の内容・量の見直しと、運動習慣がない人はいかに運動を生活に取り入れるかなど、両方向からの対策が必要になります。 睡眠については、更年期には自律神経の乱れが影響して、深い睡眠を得られなくなることがありますが、睡眠時間が不足しているために不調が出やすくなることもあります。 ですから、十分な睡眠時間をとることは何より大切ですし、自律神経の働きを整える生活習慣を取り入れることも大切です。