2024年度版の周波数再編アクションプラン、空や海でも5G活用を推進
総務省は、「周波数再編アクションプラン(令和6年度版)」を公表した。同アクションプラン公表に先立ち、10月1日~10月30日まで行われたパブリックコメントに対する考え方についても公表されている。 【この記事に関する別の画像を見る】 周波数再編アクションプランでは、いわゆるPDCAサイクルによって、携帯電話や全国BWAなどの電波の利用状況に対する調査・評価を毎年実施して周波数再編アクションプランを検討し、新たな電波利用システムを導入するサイクルを繰り返す。 総務省では、2040年末までの周波数帯域確保目標として、携帯電話網・NTN網(非地上系ネットワーク)・Wi-Fiで合計約73GHz幅が必要になると試算され、2023年末時点ではそのうち約26.5GHz幅を確保しているため、2040年末までに約47GHz幅の帯域確保を目指している。 2024年度版のアクションプランでは、重点的な取組として26GHz帯および40GHz帯について、2025年度末を目処に条件付オークションにより5Gに割り当てることを目指すほか、無線LANでは6GHz帯の屋外利用、6.5GHz帯の屋外利用や帯域拡張に向けた技術的要件の検討などを進める。 また、ドローンなど上空での4G・5G・ローカル5G・BWAの利用について、2024年中の取りまとめを目指すほか、5GHz帯の無線LANの上空利用の拡大について検討を進め、2024年度中を目処に制度整備を行う。 ■ 5G普及に向けた周波数確保 5G普及に向けた周波数確保では、既存の衛星移動通信システムで使用する2.6GHz帯について、高度化システムへの移行状況等を踏まえ、平時と災害時のダイナミックな周波数共用の適用を含め、移動通信システムの導入可能性について検討を進める。 また、ローカル5Gのうち、4.8GHz帯~4.9GHz帯については海上利用に関する制度整備を2024年度中に行うほか、手続きが簡素な実験試験局制度を2025年度内に導入を目指す。また、需要動向を踏まえ、運用調整、運用調整機関を活用した免許手続の簡素化・迅速化に係る制度を2025年度を目処に導入検討する。 4.9GHz帯(4.9~5.0GHz)については、2024年9月に5Gを導入するための制度整備が完了しており、早期の割当に向けて手続きを進める。なお、同周波数帯についてはソフトバンクへの割当が同日に発表された。 26GHz帯(25.25~27GHz)および40GHz帯(37.0~43.5GHz)は、利用ニーズに関する調査を実施した上で、既存システムや28GHz帯の活用状況を勘案し、2025年度末を目処に条件付きオークションを実施して5Gに割当を目指す。 26GHz帯および40GHz帯は、既に利用している無線システムがあるため、移行先の候補である22GHz帯無線アクセスシステム(FWA)の高度化に係る技術試験を推進し、試験における検討状況を反映しながら、2026年春頃を目処に技術条件を取りまとめ、同年夏ごろを目処に制度整備する。 ■ 無線LANの高度化と周波数拡張 無線LANでは、5GHz帯(主に5.2GHz帯)について、他の無線システムなどの混信を防止しつつ、上空における利用拡大を図る検討を行い、2024年度中を目処に制度整備を行う。また、6GHz帯(5925 ~6425MHz)におけるナローバンドデバイス利用に関して、諸外国の同行を留意しながら、周波数共用の検討を推進する。 6GHz帯の無線LAN屋外利用および、6.5GHz帯(6425~7125MHz)への屋外利用を含む周波数帯域の拡張に係る、周波数共用などの技術的条件については2025年度中の取りまとめを目指す。取りまとめにあたり、WRC-23でIMT特定された周波数帯に留意しながら、既存の無線局などに有害な干渉を与えないように、必要なAFCシステムの在り方や運用を検討する。 ■ ドローンによる上空での周波数利用 ドローンによる上空での周波数利用については、4G、5G、ローカル5Gおよび2.5GHz帯を使用する広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)のドローンなどによる上空利用について、他システムへの混信を防止しつつ上空利用を可能とするための技術条件の検討を2024年7月に開始し、結論が得られたものは同年内の取りまとめを目指す。 また、5GHz帯(主に5.2GHz帯)の無線LANが使用する周波数について、上空における利用拡大を図るための検討を行い、2024年度中を目処に制度整備する。5.8GHz帯においては、簡易な手続きによる実験運用を可能とするため、2024年11月に特定実験試験局として開設可能な周波数について範囲を公示した。
ケータイ Watch,島田 純